三軒茶屋の醸造所とバーの店頭(醸造技術担当の今井さん?と稲川社長?)

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自社醸造が可能
 自社を「SAKEベンチャー」と位置付けるWAKAZEは、オリジナルの日本酒を造る。2018年7月に都内で醸造所を併設したバーを設け、自社醸造が可能になった。参入が難しかった日本酒業界に、新たな風を巻き起こしている。

 稲川琢磨社長は日本酒のおいしさに魅了され、仲間と週末起業として事業を始めた。貯金を全て資本金へつぎ込み、16年1月に法人化。しかし始めに製品化した酒はほとんど売れなかった。

 山形県鶴岡市で事業を再スタート。酒造との関係もゼロの中、技術的な専門書から醸造関連の論文など、文献を読みあさり、山形県を中心にさまざまな酒蔵を回った。

 現在、醸造技術担当を務める東京大学農学部卒の今井翔也氏は、新政酒造(秋田市)などで、技術とノウハウを習得した。

 自社開発のレシピを委託醸造するファブレス方式で、17年2月にワインの熟成に使ったたるで醸造する日本酒「ORBIA」シリーズが完成した。クラウドファンディングで販売すると、1年で約1万本が売れた。その後、18年2月には発酵中に茶葉などを入れたその他の醸造酒として「ボタニカルSAKE」を開発。「FONIA」シリーズとして発売し、全シリーズトータルで約3万本を販売した。

期間限定で販売
 稲川社長が挑戦するのは昔ながらの手法に新たな発想を交える「古くて新しい」酒造り。7月にバーを併設した醸造所を東京都世田谷区三軒茶屋に開いた。ラボ機能を持ち、月4回のペースで製品を開発。開発した製品はバーを中心に期間限定で販売し、いいレシピは製品化を検討する。「酒販店や酒造関係者も多く訪れるが、飲食業から日本酒ビジネスに興味を示した人も訪れる。敷居を一歩下げることができた」(稲川社長)と裾野拡大に一役。

海外6カ国販売
 現在は全国各地の小売店や地酒専門店と海外6カ国に販売する。19年下期にはパリに酒蔵の立ち上げを計画。東京やパリなど都心部に、ブランド発信をする中小規模の「需要拠点」を設置。いずれは山形県など地方に、大規模な「供給拠点」を設ける構想を描く。「累計100万本を販売する規模に成長する」と業界の改革を目指す。
(文=大串菜月)

【企業プロフィル】
▽所在地=山形県鶴岡市末広町5の22▽売上高=約6000万円(18年12月期見込み)▽設立=16年(平28)1月