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夫から「未来に対しての離婚要求」を突きつけられたーー。そんな相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。

相談を寄せた女性は、今年結婚したばかり。現在、妊娠6カ月の妊婦だと言います。そんな大事な時に、なぜ夫が離婚を切り出したかと言えば、「一緒になる約束をしている女性がいる」からだそうです。

あまりに身勝手な計画ですが、夫は子どもが生まれたら「2、3年は責任を取るために一緒に住むが、その後は別の女性と再婚する」計画を明かしたのです。その上、「肉体関係はないので自分は有責者ではない。離婚できるまで相手の女性とは連絡はとらない」と主張しています。

「私は絶対に離婚したくない」と投稿者は言いますが、このような場合、夫の身勝手な離婚主張は認められてしまうのでしょうか。山本明生弁護士に聞きました。

離婚したくなければ「応じる必要はない」

ーー夫のあまりに身勝手な人生計画に「イエス」と言わなければいけないのでしょうか

「夫からの『将来の離婚要求』があっても、相談者が離婚したくなければ、応じる必要はありません。

仮に勢いで『将来、離婚しましょう』と合意してしまった、つまり離婚する『予約』をしてしまった場合であっても、それは法的な意味を持ちません」

ーーどうしてでしょうか

「協議離婚が成立するためには、当事者に離婚意思が必要です。離婚を予約したとしても、実際に離婚届けを出す際に離婚意思があるかどうかが問題となります。

そして、離婚原因は法律で決まっていますので、夫のいう『将来』が到来し、夫からの離婚要求を受けた時点で、離婚原因があるか否かを判断することになります。

今回のケースでいえば、夫は、その女性と肉体関係はなかったとしても、結婚するので別れて欲しいと考えているわけです。

では、そのことが法定の離婚原因となりうるか、この夫婦の場合には『婚姻を継続し難い重大な事由』(民法770条1項5号)があるかどうかが問題となります」

●「将来」の離婚夫婦関係が破綻しているかによる

ーー今回の夫婦の場合、裁判所はどう判断するのでしょうか

「夫の主張だけを見れば、夫の身勝手な要求ですので、夫の離婚請求は認められない可能性が高いと思われます。

ただ、将来の離婚要求を突きつけられてからの生活状況などから、夫婦関係が破綻したと認定されたら話は別です。この場合、婚姻を継続し難い重大な事由があると判断される可能性もゼロではないと思われます。

夫からの将来の離婚要求がどのような状況においてなされたのか、その後夫婦関係がどのようになったのか、現在の夫婦関係の状況はどうなっているのか等を総合的に判断して、離婚の可否が決せられることになると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
山本 明生(やまもと・あきお)弁護士
大阪弁護士会所属。交通事故被害(死亡事故、重度後遺障害案件を含む)、相続、離婚など個人をとりまく身近なトラブルを多く扱っている。「話しやすく、分かりやすい弁護士であるべき」との信念に基づき日々活動している。
事務所名:山本・竹川法律事務所
事務所URL:http://www.ytlo-jiko.jp/