日本の技術が貢献、キログラム定義の130年ぶり改定は世の中をどう変えるか
量子力学の重要な物理定数で、光が持つエネルギーの最小単位「プランク定数(h)」を「6・62607015×10のマイナス34乗ジュール秒」と定め、この値を基にキログラムを定義する。産総研はプランク定数の精密な計測に成功。使用した8個のデータのうちの4種類の測定に産総研が関わった。「プランク定数の測定に貢献したことは日本の測定技術が世界的に高い水準にあることを意味する」(中鉢良治産総研理事長)。
今までは1キログラムを「キログラム原器」と呼ばれる物差しで決めていた。だが原器の質量が100年で指紋1個分の質量となる50マイクログラム(マイクロは100万分の1)程度減少している可能性が出てきた。産総研の臼田孝計量標準総合センター長は「原器という器物は世界に一つしかなく誤差のリスクが大きい」と指摘する。
今回のキログラムの定義の改定で、SI単位系のすべてが原器を使わず定義できるようになった。物理現象に関わる基礎物理定数から単位を導くことで恣意(しい)的な要素が排除される。
こうした定義の改定はすぐに我々の生活に影響することはない。だが中長期的な効果として、原子時計による全地球測位システム(GPS)、微小電気機械システム(MEMS)デバイスや電気自動車(EV)の性能向上などへの利用が期待される。物差しの定義が変わることで、新しい物理現象の解明や新産業の発展にも期待が高まる。
(文=冨井哲雄)
