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非常時の対策として、自宅やオフィスに何らかの防災グッズを準備しているという人は一体どれほどいるだろうか。災害は予期せぬタイミングで突然やってくるもの。本格的な防災グッズを持っているに越したことはないが、いざというときのために身近な日用品で簡単に手作りできる防災グッズを知っておくこともひとつの備えになるだろう。そこで今回は、災害と危機管理のノウハウや最新情報を発信する総合防災情報サイト「備える.jp」を運営している防災の専門家・高荷智也氏に話を伺った。

○非常食の備蓄も兼ねたツナ缶ランプ

まず紹介するのは、災害時の停電対策と非常食の備蓄を兼ねられる「ツナ缶ランプ」。ツナ缶が1時間燃え続けるランプに変身し、燃焼後はおいしく食べることもできるのだ。油漬けやオイルサーディン系の缶詰ならば、ツナ缶以外でもランプは作ることが可能。ただし、ツナ缶でも油漬けではない水煮はランプには使えないため注意しよう。

停電時の明かりの確保としてツナ缶ランプを紹介したが、地震の直後にツナ缶ランプは絶対に使用しないこと。余震による揺れが危険であるのはもちろんのこと、地震の直後は周囲に粉塵や木くずが飛散しているケースも多く、火気は厳禁だ。

そこで、火を使わない方法として、懐中電灯にひと工夫加えるアイデアも提案しておこう。

○2分間で作れる新聞紙スリッパ

裸足で避難してしまい、手元には靴下すらない……そんな緊急時に足元を守り、防寒の役割も果たしてくれるのが新聞紙スリッパだ。実際に作ってみると、不器用な筆者でも折り紙感覚ですぐに作れてしまう割りに、履き心地はなかなかのもの。練習として、一度手順を見ながら自分で作成してみよう。

○キッチンペーパーで作る簡易マスク

災害時には建物の崩壊などにより粉塵が飛散しているケースも多く、呼吸器障害などを避けるためにもマスクの着用は必要不可欠。もしマスクが手元にないという場合は、キッチンペーパーを応用して簡易的なマスクを作るという方法も。密閉性に欠けるため感染症の予防には期待できないが、それでも砂埃などは十分に防げるという。

○急な雨や防寒に、ビニール袋カッパ

ビニール袋は、災害時にもさまざまな場面で活用できるアイテムである。今回は、そんなビニール袋でカッパを作る方法を紹介する。ハサミで切るだけのシンプルなものだが、黒いビニール袋で作れば着替えなどの際にも活用可能。非常用持ち出し袋などを用意している人は、雨具や防寒着もしっかりその中に入れておくことが望ましいが、いざというときのために、ビニール袋カッパの作り方も把握しておこう。

○停電対策にペットボトルで保冷剤

台風が翌日にも直撃しそうな状況で、冷蔵庫の停電対策をしたいときには、ペットボトルを凍らせて保冷剤代わりにするという方法もある。冷凍庫に余ったスペースがあれば、前日からペットボトルに水を入れて凍らせておこう。氷が解けたら、その水は飲料用にも使える。水は凍ると体積が増えるため、ペットボトルに入れる水は多くても9分目までにしておくこと。また、凍らせて水が膨張した際に中の空気が圧縮されて圧力が高まり、場合によってはペットボトルが破裂することもあるため、フタを少しだけ開けておくと空気が逃げるのでより安全だ。

大前提として各々がしっかりとした防災グッズを備えている状態が理想的だが、常にそれらを肌身離さず持ち歩くわけにもいかない。そして、いざという時はいつ訪れるかわからない。今回使用した材料は、自宅やオフィスにあるもの、コンビニで手に入るものがほとんどである。簡易的とはいえ、これらの作り方を知っておくなどの対策を事前にしておくだけでも、緊急時の冷静さを保つ一助となり得るだろう。実際に作業してみればどれもあっという間に作れてしまうので、まずは自分で試してみてほしい。

○監修者

高荷智也(たかに ともや)

ソナエルワークス代表 備え・防災アドバイザー

「自分と家族が死なないための防災対策」と「中小企業の身の丈BCP」のポイントを解説するフリーの専門家。分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、講演・執筆・メディア出演など実績多数。著書に『中小企業のためのBCP策定パーフェクトガイド』など。1982年静岡県生まれ。