きみが心に棲みついた|TBSテレビ公式サイトより

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 吉岡里帆(25)が主演を務める「きみが心に棲みついた」(TBS系)第10回が3月20日に放送され、平均視聴率8.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)だったことがわかった。2桁には届かなかったものの、前回よりも1.3%アップし、最終回ということで、注目していた視聴者が一定数いたことがわかる。

 第10話で吉崎(桐谷健太)と別れてしまった今日子(吉岡里帆)だが、殊勝に仕事に取り組んでいた。社内でのセクハラ・パワハラの事実が明るみになり、停職処分を受けていた星名(向井理)のもとに訪れた吉崎は、今日子から離れるようにと頭を下げる。
 今日子は星名の姉から星名の母親が死亡したこと、また星名が行方不明になっていることを聞く。今日子は必死で探し、ついに大学のサークル室で練炭自殺を試みていた星名を見つける。病院に運ばれ、一命をとりとめた星名だがすぐに行方をくらます。
一年後、今日子と吉崎は再会し、結婚。幸せいっぱいの二人だったが、結婚式の途中に「Happy Weddingキョドコのくせに」と書かれたメッセージと花束が贈られてきたことで、今日子は星名の存在に気づき、また動揺するのであった。

 今作の最も肝となる部分は、「今日子が星名と吉崎のどちらを選ぶのか」という点だったはずだ。これまでずっと吉崎が優位だったが、8〜9話にかけて星名が猛追してきたことで、視聴者も結末がどうなるのか見当がつかなかったに違いない。しかし、その点が意外にもさらっと流されてしまったので、肩透かしを食らった気分になった。

 結局今日子は星名の孤独を救えなかったし、吉崎とくっつくにしても再会してからの復縁までの流れが思いっきり端折られていたので、結婚式のシーンが唐突に感じられるのだ。

 その一方で漫画家・スズキ(ムロツヨシ)が最終回になって妙に目立ったのが気になった。失恋した吉崎や今日子を諭したり、マンガ大賞を受賞したりして、印象的な場面が多かったが、なぜわざわざ最終回でクローズアップするの?というのが正直な感想。スズキのスピーチで、これまで小説家の夢を諦めきれないでいた吉崎が、編集者として報われたということはわかるのだが、視聴者が見たかったのはもっと別の展開だったはずだ。肝心なシーンは駆け足気味で、やや説得力に欠ける展開が気になった。

 何はともあれ、無事最終回を迎えることができた本作だが、今回のドラマで一番株を上げたのは間違いなく向井理だろう。ヒロインの当て馬役で終わるなんて、人気絶頂期には考えられなかったが、イケメンぶりや驚異的なスタイルの良さ、さらに意外と演技力も高いことを認識した視聴者は多いはずだ。これまで好青年役が多かった向井だが、このドラマで役の幅が広がったに違いない。これからの活躍に注目だ。

 吉岡里帆も初主演ながら、下着姿になるなど身体を張った演技で好感を持てた。初回はぎこちなかった今日子役を、後半では完全にものにしていたように感じる。「あざとい」と言われ、女性受けがすこぶる悪い彼女だが、そんな悪評は気にせずに今後も頑張ってもらいたいものだ。

文・Harumaki