報徳学園vs福岡大大濠
福岡大大濠がエース、三浦 銀二（3年）を登板させるのかどうかに注目した。26日の2回戦、滋賀学園戦で延長15回、196球を1人で投げ抜いて1対1の引き分け、2日後の28日の同カードの再試合で、これも1人で130球を投げ抜いて5対3の完投勝利。凄いことは凄いが、�犢鷸函蹐箸いμ未�ら見れば危うさも感じる力投ぶりである。
この試合も勝ちにこだわれば先発は三浦のはずだったが、八木 啓伸監督は自重した。最速146キロを計測したストレートだけでなくスライダー、カーブ、チェンジアップの精度の高さ、さらに投球フォームのよさなど、総合的に判断すれば今大会ナンバーワン投手と言ってよく、当然今年のドラフト候補でもある。そういう選手を甲子園大会と言っても1大会での目先の勝利にこだわって酷使していいわけがない。八木監督の判断に敬意を表したい。
新チームに移行後、同校で公式戦に登板しているのは三浦だけである。他の投手の経験のなさは容易に想像でき、この試合でも先発の徳原 世羅（2年）、2人目の西 隼人（2年）、3人目の古賀 悠斗（3年）は失点を重ねた。一言でいえば彼らのマウンド上の姿は投手らしくない。古賀などは捕手としてスカウトから注目される存在なので明らかにミスキャストだが、そういう非難覚悟の投手起用をしてまで三浦を守りたいという覚悟はよく伝わってきた。
報徳学園の先発、西垣 雅矢（3年）は反対に投手らしかった。変化球の基本は横変化のスライダーだが、右打者の内角をえぐるツーシームらしき球が先発に6人並ぶ右打者に対するスライダー勝負の重要な伏線になった。
変化球が極端に多いピッチングには物足りなさを感じるものだが、少なくとも3回まではまったく感じなかった。内角を攻めていることがその最大の理由だろう。1、2回は三者凡退に仕留めて、そのうち3人が三振。変化球のキレのよさが実感できると思う。
精密なコントロールに狂いが生じ始めたのは4回だ。4番東 怜央（3年・一塁手）に死球、5番稲本 侑星（2年・三塁手）に四球、6番仲 慶介（2年・中堅手）に死球を与え、首を傾げた。この回は無得点に切り抜けたものの、5回にはヒットと内野手のエラーで1失点、6回は3本のヒットで1点、7回は3連打で1点と小刻みに失点を重ねていく。投球フォームの狂いが原因と言うが、指先のまめが潰れたとか、肉体的な事情が関係しているようなあっという間の崩れ方だった。準決勝がちょっと心配である。
報徳学園の野手では1番小園 海斗（2年・遊撃手）がよかった。スポーツ紙は�牴�金世代″という言葉を使い2年生の根尾 昂（大阪桐蔭・遊撃、中堅、投手）や野村 大樹（早稲田実・三塁手）の名前をよく出すが、私はこの世代の代表選手は小園だと思う。走攻守が揃い、とくに俊足と守備は圧倒的にいい。
1点を失い、なおも1死一、二塁の6回表、9番打者が打った投手ゴロのとき、二塁ベースカバーに入る野手の動きが追いつかないように見えた。しかし、小園は風のようにスッと二塁ベースカバーに入り、1−6−3の併殺を完成させる。3回には7番打者の三遊間を襲うゴロの正面に素早く入り、ノーバウンド送球でアウトを取っている。
俊足では第3打席でセンターフライに打ち取られているが、このときの二塁到達タイムはあっと驚く7.99秒である。どこをとっても文句のない、来年のドラフト上位候補である。
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