指宿vs樟南二
完投した浮邉（指宿）
10人チームの指宿は1点を追いかける3回、一死一、三塁で4番・林山恭佑（3年）の犠牲フライで同点に追いついた。
その裏再び勝ち越され、中盤は両者無得点の展開。7回、指宿は二死からヒットとエラーで一三塁のチャンスを作ると、4番・林山がしぶとくライト前に運び、同点に追いつく。
8回は無死一塁から、相手がピックオフプレーで走者を誘い出した逆を突き、一走・篠原士門（2年）が二塁を狙う。慌てた一塁手の二塁送球が逸れ、カバーに入ったレフトの処理ももたつく間に、篠原が勝ち越しのホームを駆け抜けた。
終盤まで優位に試合を進めていただけに、樟南二としては悔やまれる敗戦だった。「1つ勝つ難しさ」を泊和馬監督は痛感していた。
ベンチ入り3人をインフルエンザで欠くアクシデントがあり「互いに協力し、共に創り上げる『共創』がどこまでやれるか」（泊監督）がテーマだった。
初回は四球、けん制悪送球でピンチを広げ先制点を許したが、併殺で後続を絶ち1失点で切り抜けた。3回は併殺狙った送球が逸れたが、カバーしたセンター本田寛人（3年）が打者走者を一塁送球で刺した。4回には四球で出した走者をピックオフプレーでアウトにしている。ミスはあっても誰かがカバーし、ミスの連鎖を断ち切る野球ができていた。
攻撃では相手を上回る13安打を放った。同点で迎えた3回には、代打・井上豪主将（3年）が勝ち越しのレフト線二塁打を放っている。泊監督が「交代で出る選手は流れを変えるのが仕事」と檄を飛ばして送り出した役目をきっちり果たした。
このまま勝ち切りたかったが終盤詰めの甘さが出て、自らで敗因を作った。7回の同点は二死からのエラーがきっかけ。8回の勝ち越し点は、ピックオフプレーの逆を突かれて走られ、二塁悪送球にカバーに入った外野手も処理をもたつく間に許した。泊監督は「心配していたことが最後に出てしまった。選手の気持ちをうまく切り替えられなかった監督の責任」と唇をかんだ。
井上主将は「この試合でうまくいったこと、いかなかったこと、1人1人がどこまで自覚できているか」が夏は大事になってくると言う。敗戦の繰り返しを糧にチームはまとまりつつあり、あと一歩のところまではきている。夏を「自分たちが輝く舞台」（井上主将）にするために、この敗戦も立派な糧にするつもりだ。
（文＝政 純一郎）
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