健大高崎vs福井工大福井
ストップウォッチで計測できるもので比較すると健大高崎の圧勝である。私が俊足の目安にしている打者走者の「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」をクリアしたのは福井工大福井の2人4回に対して健大高崎は5人9回。また、捕手のイニング間の二塁送球タイムは福井工大福井・島谷 元貴（3年）の最速2.05秒に対して、健大高崎・大柿 廉太郎（2年）は1.95秒だった。
またストレートの最速を比較すると、福井工大福井の摺石 達哉（3年）、氏家 拓海（3年）が130キロ台だったのに対して、健大高崎の2番手、小野 大夏（3年）は145キロだった。デジタルで比較できるものはすべて健大高崎が上回っているのに勝敗の行方はもつれにもつれた。
先制したのは健大高崎だ。3回裏2死一、二塁の場面で2番小野寺大輝（3年・左翼手）が放ったライト方向の打球を捕ろうと中堅手と右翼手が交錯、ボールが右中間を転々としている間に2人が還り、外野に目をやれば福井工大福井の中堅手・吉田 有哉（3年）が倒れたまま起き上がれない。そのスキを突いて打者走者がホーム生還を狙うが、その前に二塁塁審がタイムをかけていたのでボールデットと判断され、2死三塁の場面から再開。
ここから3番安里 樹羅（3年・遊撃手）が内野安打を放って3点目（安里は三塁手のエラーで二進）、4番山下航汰（2年・一塁手）がライトに三塁打を放ち、4点目の走者を迎え入れる。ちなみに、ボールデッドになっていなければ小野寺はホームでアウトになっているので健大高崎の得点は2点止まりだった。
この展開は健大高崎のペースである。1回戦の札幌第一戦（試合記事）はエラーをきっかけにして2回に3点を入れ、3回は押し出しの死球と四球で2点を追加している。相手がスキを見せればそこを突破口にして波状攻撃を仕掛け、大量点を取って逃げ切るというのが健大高崎の戦い方である。
しかし、福井工大福井は白旗を掲げなかった。5回に5番島谷の三塁打で3点、6回に3番井上 開都（3年・一塁手）の二塁打で3点を挙げ逆転してしまった。
7回裏に健大高崎が死球とエラーをきっかけにしてノーヒットで1点挙げて同点、9回表に福井工大福井が長短打をつらねて1点勝ち越すと、その裏に健大高崎はまたもエラー、死球、送りバントで2死二、三塁のチャンスを作り、投手の二塁けん制のスキを突いて三塁走者がホームを陥れ同点にするというスリリングな展開を見せる。この点の取り合いから一転して10回以降は両校とも1点も入らなくなるのだから野球は難しい。
健大高崎は先発した伊藤 敦紀（3年）が4番手として10回から再びマウンドに立ち、福井工大福井は先発した摺石が11回まで投げ、それ以降を2番手の氏家に託すという継投策で0の山を築く。
健大高崎は6回以降の10イニングで放った安打はわずか4本、それに対して福井工大福井は安打がなかったイニングは3、4、11，14回の4イニングだけ。健大高崎の持ち味である打者走者の「一塁到達4.3秒未満〜」のタイムクリアも10回以降に限れば1回しかなかった。デジタル的な部分では上回っても、全体的な流れでは明らかに福井工大福井のペースだった。
再試合は3月28日の第2試合と決まった。第1試合はこれも延長15回を引き分けた福岡大大濠対滋賀学園戦である。2試合連続で延長15回引き分け、翌日以降の再試合というのは史上初めての出来事。今大会は延長戦が多い。
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