まわりが思わず手を貸したくなる! 人を巻き込むための目標設定術
突然だが、あなたがこれまでに達成した目標のなかで、最も大きなものは何だろうか。また、その目標達成の道のり振り返るとき、あなたに救いの手を差し伸べてくれた人はどれくらいいただろうか。
言うまでもないが、達成したい目標が大きければ大きいほど、多くの人の助けが必要となる。逆にいえば、多くの人を惹きつけることができれば、どんなに大きな目標であれ、達成の可能性は高くなる。
では、自分の目標のために人を巻き込んでゆくには、どのようなことに気をつけるべきなのか。
これまで多くの経営者の目標達成支援にも携わり、『思い描いた未来が現実になる ゴールドビジョン』(PHP研究所刊)の著者である久野和禎さんにお話をうかがった。
■どれくらいの時間をかけ、どれくらい先を見て目標を立てるべきなのか
――インタビューの前編・中編では、ゴールドビジョンを人生に取り入れる上での準備作業の話を中心にうかがいました。この後編では、「では実際、どのようにゴールを設定し、実現していけばよいのか」を中心にお話をうかがえればと思います。
久野:ゴールを見つけるのはなかなか大変で、自分一人でやろうとすると、2年から3年はかかるのが一般的です。
インタビューの中編で、お金、時間、他人という三つのモノサシから自由になることが重要という話をしました。
これまで優等生的な生き方をしてきた人ほど、モノサシにとらわれ、頭のなかが「こんがらがった糸」のようになっています。それを自力で一つひとつほぐしていかなければならないので、自ずと2年から3年はかかるのです。
――ちなみに、何年後くらいをイメージしてゴール設定するものなのでしょうか。
久野:入口として、まずはクライアント自身の10年後を考えていただき、最終的には30年後、50年後くらいまでイメージしていただくことが多いです。
私が関わるクライアントさんには60代の方も多いのですが、そういう方には「110歳の自分」までイメージしていただくことになる。この作業をするだけで「まだ自分の人生は50年もあるのか」と思い、皆さん例外なく「勇気が湧いてくる」と言います。
また、クライアントが会社の経営者なら、「せめて100年先くらいまでのことは考えてください」と言います。本当に一事を成すつもりなら、せめて孫の世代のことまで考えてあげてくださいよ、と。
実際、歴史に名を残す経営者は、それぐらいのスケールで考えているケースが珍しくない。たとえば、松下幸之助さんはかつて松下電器の250年計画を提示したというエピソードがあります。
――たしかに、それくらいのスパンで考えれば、自ずと「高いゴール」になる気がします。ところで本書では、ゴールを実現するにあたり、三つの力が必要だと書かれていますね。そのなかで、特に習得が難しい力はどれでしょうか。
久野:はい、「未来を視る力」、「自分を信じる力」、「人を巻き込み動かす力」の三つですね。このなかで習得が最も難しいのは、インタビュー中編でも触れた「自分を信じる力」です。
また、「人を巻き込み動かす力」は結局のところ「人を信じる力」に依拠する部分があるので、これも「自分を信じる力」を高めていけば自然と身につきます。
その意味では、逆に最も習得が容易なのは、「未来を視る力」でしょう。きちんとトレーニングしさえすれば、この力を高めることができ、結果として、自分の現状の「外」にあるゴールを適切に設定できるようになります。
――「未来を視る力」はどのようにして伸ばしていけばよいのでしょうか。
久野:本書のなかでも紹介した「バランスホイール」と呼ばれる図を使って、自分の思いや考えを整理していくのがおすすめです。
(本書P85「バランスホイール具体例」)
これは、職業、家族、健康、友人、趣味、お金(ファイナンス)、社会貢献、教養などの項目について、それぞれどんなゴールを望むのかを書きだしてみるというもの。
「ゴールは仕事に関するものでなければいけない」と言うのはもちろん大きな誤解です。「社外に友人を作る」(友人)、「俳句を始める」(趣味)などといった具合に、プライベートでのゴールも設定することで、より脳が活性化し、「イメージする→文章にする」というサイクルを繰り返しやすくなるのです。
ちなみに私自身、8年前から今に至るまで、この図を更新し続けています。こうして「未来を視る力」を高めてきたのです。
――ちなみに、ゴールの達成状況は、どのようにしてチェックしていくものなのでしょうか。
久野:このメソッドでは、ゴールを「実現が近づいたら、更新するもの」として捉えています。したがって、いわゆる進捗確認のようなことはしません。
先ほども言ったように、私自身、いまでも「バランスホイール」を更新し続けています。重要なのは、この「ゴールを更新し続ける」という状態がコンフォートゾーンだと脳が感じるようになるまで、この作業を習慣化させることです。
その結果、常に自分を変化させ続けることができるのです。
――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。
久野:老若男女問わず、どんな人でも、自分なりのゴールドビジョンをもって、それに向かって生きていく。仕事であろうが、プライベートであろうが、遊びであろうが、自分を向上させていく。そのことによって、人生をさらに充実したものにできると考えています。
私たちひとり一人の人生が豊かになることで、世界全体もより幸せな方向へ向かっていくと信じています。世界から戦争や飢餓をなくし、そして誰もが自分の才能を発揮して生きていける、そんな世界を一緒に作っていけたらと願っています。
(新刊JP編集部)
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■どれくらいの時間をかけ、どれくらい先を見て目標を立てるべきなのか
――インタビューの前編・中編では、ゴールドビジョンを人生に取り入れる上での準備作業の話を中心にうかがいました。この後編では、「では実際、どのようにゴールを設定し、実現していけばよいのか」を中心にお話をうかがえればと思います。
久野:ゴールを見つけるのはなかなか大変で、自分一人でやろうとすると、2年から3年はかかるのが一般的です。
インタビューの中編で、お金、時間、他人という三つのモノサシから自由になることが重要という話をしました。
これまで優等生的な生き方をしてきた人ほど、モノサシにとらわれ、頭のなかが「こんがらがった糸」のようになっています。それを自力で一つひとつほぐしていかなければならないので、自ずと2年から3年はかかるのです。
――ちなみに、何年後くらいをイメージしてゴール設定するものなのでしょうか。
久野:入口として、まずはクライアント自身の10年後を考えていただき、最終的には30年後、50年後くらいまでイメージしていただくことが多いです。
私が関わるクライアントさんには60代の方も多いのですが、そういう方には「110歳の自分」までイメージしていただくことになる。この作業をするだけで「まだ自分の人生は50年もあるのか」と思い、皆さん例外なく「勇気が湧いてくる」と言います。
また、クライアントが会社の経営者なら、「せめて100年先くらいまでのことは考えてください」と言います。本当に一事を成すつもりなら、せめて孫の世代のことまで考えてあげてくださいよ、と。
実際、歴史に名を残す経営者は、それぐらいのスケールで考えているケースが珍しくない。たとえば、松下幸之助さんはかつて松下電器の250年計画を提示したというエピソードがあります。
――たしかに、それくらいのスパンで考えれば、自ずと「高いゴール」になる気がします。ところで本書では、ゴールを実現するにあたり、三つの力が必要だと書かれていますね。そのなかで、特に習得が難しい力はどれでしょうか。
久野:はい、「未来を視る力」、「自分を信じる力」、「人を巻き込み動かす力」の三つですね。このなかで習得が最も難しいのは、インタビュー中編でも触れた「自分を信じる力」です。
また、「人を巻き込み動かす力」は結局のところ「人を信じる力」に依拠する部分があるので、これも「自分を信じる力」を高めていけば自然と身につきます。
その意味では、逆に最も習得が容易なのは、「未来を視る力」でしょう。きちんとトレーニングしさえすれば、この力を高めることができ、結果として、自分の現状の「外」にあるゴールを適切に設定できるようになります。
――「未来を視る力」はどのようにして伸ばしていけばよいのでしょうか。
久野:本書のなかでも紹介した「バランスホイール」と呼ばれる図を使って、自分の思いや考えを整理していくのがおすすめです。
(本書P85「バランスホイール具体例」)
これは、職業、家族、健康、友人、趣味、お金(ファイナンス)、社会貢献、教養などの項目について、それぞれどんなゴールを望むのかを書きだしてみるというもの。
「ゴールは仕事に関するものでなければいけない」と言うのはもちろん大きな誤解です。「社外に友人を作る」(友人)、「俳句を始める」(趣味)などといった具合に、プライベートでのゴールも設定することで、より脳が活性化し、「イメージする→文章にする」というサイクルを繰り返しやすくなるのです。
ちなみに私自身、8年前から今に至るまで、この図を更新し続けています。こうして「未来を視る力」を高めてきたのです。
――ちなみに、ゴールの達成状況は、どのようにしてチェックしていくものなのでしょうか。
久野:このメソッドでは、ゴールを「実現が近づいたら、更新するもの」として捉えています。したがって、いわゆる進捗確認のようなことはしません。
先ほども言ったように、私自身、いまでも「バランスホイール」を更新し続けています。重要なのは、この「ゴールを更新し続ける」という状態がコンフォートゾーンだと脳が感じるようになるまで、この作業を習慣化させることです。
その結果、常に自分を変化させ続けることができるのです。
――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。
久野:老若男女問わず、どんな人でも、自分なりのゴールドビジョンをもって、それに向かって生きていく。仕事であろうが、プライベートであろうが、遊びであろうが、自分を向上させていく。そのことによって、人生をさらに充実したものにできると考えています。
私たちひとり一人の人生が豊かになることで、世界全体もより幸せな方向へ向かっていくと信じています。世界から戦争や飢餓をなくし、そして誰もが自分の才能を発揮して生きていける、そんな世界を一緒に作っていけたらと願っています。
(新刊JP編集部)
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