相手の器の大きさを一発で見抜く、究極の質問
働く環境を一新したい。
そんな人にとって、転職は魅力的な選択肢のひとつだ。
だが、転職する側に心の余裕がないときほど、「選ばれる」ことに熱心になり、相手におもねりがち。こちらが相手を「選んでやる」ぐらいの気概がなければ、その転職は状況をさらに悪化させる危険性がある。
では、「選んでやる」ために、相手のどこを見るべきなのか。人それぞれだろうが、「社長の器の大きさ」を見るというのは、ひとつ重要な視点かもしれない。
そこで今回は、相手の器の大きさを見定めるためのヒントを探るべく、『思い描いた未来が現実になる ゴールドビジョン』(PHP研究所刊)の著者であり、コーチングのプロである久野和禎さんにお話をうかがった。
■「自分を信じる力」が高い人はここが違う
――インタビューの前編では、「付き合う人を変えれば、現状維持に陥らずにすむ」というお話がありました。本書では、ブレイクスルーする上で、「自分を信じる力」の高い人と付き合うことの重要性も説かれていますね。
久野:「自分を信じる力」のことを、コーチング用語で「エフィカシー」といいます。これは、「自分ならできる!」と心から確信している度合いのことです。
自分が目指すゴールの分野で実績を残しているエフィカシーの高い人と付き合えば、その人に引っ張られるようにして、自分のなかのコンフォートゾーンを一気に動かすことができます。
つまり、エフィカシーの高い人と付き合うことにより、ブレイクスルーに近づくことができるわけです。
――では、目の前の人のエフィカシーが高いかどうかを見分けるためには、どうすればよいですか。
久野:まずは、「あなたが目指すゴールは何ですか」と聞けばいいと思います。ゴールとエフィカシーは鶏と卵の関係にあるので、ゴールが高くなるとエフィカシーも高まるし、エフィカシーが高まるとゴールも高まっていきます。
したがって、どれくらい高いゴール設定をしているかを聞くことで、エフィカシーの高さを知ることができるのです。
たとえば、転職の最終面接でベンチャー企業の社長と話す機会に恵まれたなら、失礼にならないような聞き方で「ゴールは何ですか」と質問してみる。「とりあえず上場ですね」といった答えが返ってきたら、そこでさらに、上場の先に何を見ているのかを聞いてみることをおすすめします。
単に上場できればOKなのか、それとも「もっと大きなもの」を実現するための手段として「上場したい」と言っているのかを明らかにする。つまり、その人のなかにある「真のゴール」を把握し、その器の大きさを見定めようとすることが大切なのです。
ただ、相手が自分よりも上のレイヤーにいる場合、相手のエフィカシーがどれくらいなのかを理解することは難しい。
――ということは、自分自身のエフィカシーを高めないかぎり、エフィカシーの高い人とつながることはできないということでしょうか。
久野:その通りです。では、どうすれば自分のエフィカシーを高められるかといえば、これまで知らず知らずのうちに縛られていた、いくつかの「モノサシ」から自由になることが不可欠です。具体的には、お金、時間、他人という三つのモノサシです。
「たくさんお金を稼いでいるほうが偉い」と考えてしまうのは、お金のモノサシにとらわれているからですし、「以前やってできなかったから、今度も無理だろう」と思ってしまうのは、過去にとらわれているという意味で、時間のモノサシに縛られてしまっている。
また、ある女性が「自分の考えを主張するのは怖い」と感じてしまっているのなら、それは「はっきり自己主張する女性はかわいくないので嫌われる」という他人のモノサシに振り回されている可能性があります。
これらのモノサシを一つひとつ外していくことで、自分のエフィカシーは確実に高まっていきます。
――本書では、ゴールドビジョンを実践するにあたり、「心からやりたいこと」を見つけることが重要だとも書かれています。
久野:心からやりたいことが見つからない状態とは、他人の声に耳を傾けすぎている状態ともいえます。
たとえば、子どものころに親から「小さい会社よりも、大きな会社に勤めたほうが安泰」と言われ、大人になった今も、それを真に受けてしまっている人がいたとしましょう。
もちろん、これが100%ウソだとは言いませんが、当てはまらない人がいるのも事実です。大切なのは、そのようなメッセージはあくまで他人の声だと、自分から切り離して考えることです。
――では、どうすれば他人の声から自由になることができるのでしょうか?
久野:設定しようとしている目標が「have to(〜しなければならない)」という思いから出てきていないかチェックするのは、ひとつの方法です。
突き抜けるためには、「want to(〜したい)」にもとづいて目標を設定することが大切。でも、「心からやりたいことが見つからない」という人は、「have to(〜しなければならない)」で発想してしまいがちです。
「want to(〜したい)」にもとづき高いゴールを設定しさえすれば、あとは脳が勝手に「そのゴールに辿り着くには、どうすればいいか」と計算を始めてくれる。皆さんにはぜひ、この点を覚えておいていただきたいですね。
――ゴールを設定することから、すべてが始めるのですね。
久野:その通りです。人間の脳が生得的に持っている能力のひとつとして、「ゴールがあると分かると、そのゴールに向かっていく」というものがあります。ゴールを定めた瞬間、人はそれを目指したくなるものなのですね。
この能力があったからこそ、われわれ人類は生き残ることができたともいえます。つまり、目の前に鹿がいたとして、「まぁ、どうでもいいや」と思わずに「捕まえたい」と思う能力があったからこそ、われわれの祖先は飢え死にせずに済んだのです。
(後編へ続く)
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では、「選んでやる」ために、相手のどこを見るべきなのか。人それぞれだろうが、「社長の器の大きさ」を見るというのは、ひとつ重要な視点かもしれない。
■「自分を信じる力」が高い人はここが違う
――インタビューの前編では、「付き合う人を変えれば、現状維持に陥らずにすむ」というお話がありました。本書では、ブレイクスルーする上で、「自分を信じる力」の高い人と付き合うことの重要性も説かれていますね。
久野:「自分を信じる力」のことを、コーチング用語で「エフィカシー」といいます。これは、「自分ならできる!」と心から確信している度合いのことです。
自分が目指すゴールの分野で実績を残しているエフィカシーの高い人と付き合えば、その人に引っ張られるようにして、自分のなかのコンフォートゾーンを一気に動かすことができます。
つまり、エフィカシーの高い人と付き合うことにより、ブレイクスルーに近づくことができるわけです。
――では、目の前の人のエフィカシーが高いかどうかを見分けるためには、どうすればよいですか。
久野:まずは、「あなたが目指すゴールは何ですか」と聞けばいいと思います。ゴールとエフィカシーは鶏と卵の関係にあるので、ゴールが高くなるとエフィカシーも高まるし、エフィカシーが高まるとゴールも高まっていきます。
したがって、どれくらい高いゴール設定をしているかを聞くことで、エフィカシーの高さを知ることができるのです。
たとえば、転職の最終面接でベンチャー企業の社長と話す機会に恵まれたなら、失礼にならないような聞き方で「ゴールは何ですか」と質問してみる。「とりあえず上場ですね」といった答えが返ってきたら、そこでさらに、上場の先に何を見ているのかを聞いてみることをおすすめします。
単に上場できればOKなのか、それとも「もっと大きなもの」を実現するための手段として「上場したい」と言っているのかを明らかにする。つまり、その人のなかにある「真のゴール」を把握し、その器の大きさを見定めようとすることが大切なのです。
ただ、相手が自分よりも上のレイヤーにいる場合、相手のエフィカシーがどれくらいなのかを理解することは難しい。
――ということは、自分自身のエフィカシーを高めないかぎり、エフィカシーの高い人とつながることはできないということでしょうか。
久野:その通りです。では、どうすれば自分のエフィカシーを高められるかといえば、これまで知らず知らずのうちに縛られていた、いくつかの「モノサシ」から自由になることが不可欠です。具体的には、お金、時間、他人という三つのモノサシです。
「たくさんお金を稼いでいるほうが偉い」と考えてしまうのは、お金のモノサシにとらわれているからですし、「以前やってできなかったから、今度も無理だろう」と思ってしまうのは、過去にとらわれているという意味で、時間のモノサシに縛られてしまっている。
また、ある女性が「自分の考えを主張するのは怖い」と感じてしまっているのなら、それは「はっきり自己主張する女性はかわいくないので嫌われる」という他人のモノサシに振り回されている可能性があります。
これらのモノサシを一つひとつ外していくことで、自分のエフィカシーは確実に高まっていきます。
――本書では、ゴールドビジョンを実践するにあたり、「心からやりたいこと」を見つけることが重要だとも書かれています。
久野:心からやりたいことが見つからない状態とは、他人の声に耳を傾けすぎている状態ともいえます。
たとえば、子どものころに親から「小さい会社よりも、大きな会社に勤めたほうが安泰」と言われ、大人になった今も、それを真に受けてしまっている人がいたとしましょう。
もちろん、これが100%ウソだとは言いませんが、当てはまらない人がいるのも事実です。大切なのは、そのようなメッセージはあくまで他人の声だと、自分から切り離して考えることです。
――では、どうすれば他人の声から自由になることができるのでしょうか?
久野:設定しようとしている目標が「have to(〜しなければならない)」という思いから出てきていないかチェックするのは、ひとつの方法です。
突き抜けるためには、「want to(〜したい)」にもとづいて目標を設定することが大切。でも、「心からやりたいことが見つからない」という人は、「have to(〜しなければならない)」で発想してしまいがちです。
「want to(〜したい)」にもとづき高いゴールを設定しさえすれば、あとは脳が勝手に「そのゴールに辿り着くには、どうすればいいか」と計算を始めてくれる。皆さんにはぜひ、この点を覚えておいていただきたいですね。
――ゴールを設定することから、すべてが始めるのですね。
久野:その通りです。人間の脳が生得的に持っている能力のひとつとして、「ゴールがあると分かると、そのゴールに向かっていく」というものがあります。ゴールを定めた瞬間、人はそれを目指したくなるものなのですね。
この能力があったからこそ、われわれ人類は生き残ることができたともいえます。つまり、目の前に鹿がいたとして、「まぁ、どうでもいいや」と思わずに「捕まえたい」と思う能力があったからこそ、われわれの祖先は飢え死にせずに済んだのです。
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