XFN-ASIAによると、米投資銀行大手のリーマン・ブラザーズは13日、中国の経済成長予測に関するレポートを発表した。それによると、中国国内で不動産投資が一巡したことで、投資資金が製造業に流入し、この結果、過剰設備による供給過剰が大きな問題になってくると指摘する。また、同レポートでは、供給に見合う需要は地方では不十分だが、中国の製造業は生産を削減するよりも、価格を下げてでも輸出に回すことを選ぶとしている。

　　その上で、同社は、2005年の中国のCPI（消費者物価指数）予想を＋3.5％から＋2.2％に下方修正し、年内は中央銀行による利上げは行われないとした。また、2005年の経常黒字は前年の690億ドルから1000億ドル（GDPの5％相当）に拡大する予想し、2005年のGDP成長率は8.8％で据え置いたが、景気の下振れリスクがあるとして、2006年のGDP成長率は8.5％から8.0％に予想を引き下げた。

　　中国の投資ブームは2002年以降加速し、政府も鉄鋼やアルミニウム、セメント、自動車などへの過剰投資に警告を発したが、その後も各業種への投資は過熱し、銀行貸出規制や金利引き上げなどの過剰投資抑制策が取られたが、実施が遅すぎたため、効果はほとんど出ていない状況だ。

　　他方、政府の不動産投機を規制する措置は効果を発揮しており、今年1−4月の上海の住宅投資が前年同期比7％減、上海と北京の5月の不動産販売成約件数が前年同期比40％以上急落するなど、不動産投資にかげりが見られる。その結果、地価が下落する中で、供給過剰の問題が大きく台頭してくるとしている。すでに、中国の鉄鋼･粗鋼輸出は1−4月だけで前年比259％増と大幅に伸び、貿易黒字拡大の2番目に大きな要因となってきている。　【了】