世界にはそれぞれの国にマナーがあって、日本と西洋だとちょっと違ったりします。たとえば、オナラ。動画サイトなどでも、欧米の人がオナラで大爆笑している動画は多くありますが、日本人となるとなかなかありません。オナラを我慢するのは体に良くないけど、マナー上も良くないし恥ずかしいというのは、昔も今も同じです。今回は、江戸時代の「おなら」事情についてお話します。


オナラ請負人「へおいびくに」さんのお仕事とは?



江戸時代では、今以上に女性がオナラをすることがタブーとされていました。
一度その音を聞かれてしまった女性は「放屁女」と呼ばれてしまったそうです。
それが良家のお嬢様であれば、なおのこと。
ですが、いくら立派な家柄の娘であっても「出物腫れ物所嫌わず」……。
出るときは、出てしまいます。

そこで良家の娘は外出するときに、必ず用心棒と、もう一人女性を連れて歩いたと言います。
その名も「屁負い比丘尼(へおいびくに)」。
なんと、万が一、お嬢様がオナラをしてしまった場合、「私がしました」と請け負う仕事です。
屁負い比丘尼は、ほとんどが中年の女性。
なかなか、つらい仕事です。

明治時代には、なんとオナラにより、3人も自殺をするという事件もありました。
結婚の挨拶の際にお嫁さんがオナラをし、それを笑われたことを苦に自殺。
責任を感じた婚約者と笑った媒酌人も、次々と命を絶ったのだそうです。
なんとも悲しいお話です。

江戸時代の天才発明家、平賀源内の著書に「放屁論」という本があります。
オナラについて、真剣に論じている本です。
内容を見てみるとこんなことが書かれています。
「音に三等(さんとう)あり。ブッと鳴るもの上品にしてその形円(まろ)く、ブウと鳴るもの中品にしてその形いびつなり。スーとすかすもの下品にて細長い」
そして、こうも言っています。
「屁こそ百害あって一利なし」

嫌われ続けるこの生理現象。
ガマンをしすぎると健康にも悪いですから、くれぐれも気を付けてくださいね!

文/岡本清香

◆TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、「江戸おなら事情」として2011年9月11日に放送した内容を再構成したものです。

【あわせて読みたい】
★胃のバリウム検査をしたこと、ある? ない?(2016/3/11) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/nHqKN1jCRd.html
★「ぎゃふん!」は“昭和の死語”じゃなかった!? (2016/3/11) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/yyFxWC755X.html
★大人同士の初デートで「クーポン使用」は、あり? なし?(2016/3/10) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/vintD8WVgi.html

<番組概要>
番組名:「シンクロのシティ」
放送日時 :毎週月〜木曜15:00〜16:50
パーソナリティ:堀内貴之、MIO
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/city/