偉業を成し遂げた人物の中には、ちょっと変わった人がたくさんいます。健康マニアだった、徳川家康。引っ越し魔だった、葛飾北斎。では、大隈重信というと、どんな人物像を思い浮かべますか？


早稲田大学の創立者、大隈重信



大隈重信。
言わずと知れた、日本の総理大臣、そして早稲田大学の創始者です。
そして実は、とんでもない「負けず嫌い」で有名。
その驚きのエピソードは、たくさん残っています。

たとえば、早稲田大学を創ったワケ。
これは、犬猿の仲で大嫌いだった福沢諭吉が、慶應義塾大学を創ったから。
「君も創ったら？」と言われ、くやしい思いをしたことが、きっかけだったそうです。

ほかにも、永遠のライバルとされる伊藤博文が、ハルビンで暗殺されたときのこと。
ライバルとはいえ、いろいろなことを競い、認め合ってきた関係だっただけに、大隈重信は男泣きをしたといいます。
ですがそのときに言ったひと言は、「なんて華々しい死に方をしたものか！」。
やはり武士だった人物、死に対しても、その見事な散り方が羨ましかったようです。

きわめつけは、「文字」。
実は重信少年、幼いころから成績優秀、字も美しいと有名でした。
ですが、ある日、自分よりも字の上手いクラスメイトと出会います。
一生懸命練習しても、かなわない……。
すると彼はこう宣言するのです。
「おれは二度と、文字は書かん！」
この宣言どおり、大隈重信は一生、文字を書きませんでした。
彼に関して残されている文献は、すべて口述筆記で、一文字も残されていないのだそう。
徹底していますね。

ちょっと変わった、負けず嫌い。
このくらいでないと、一国の首相にはなれないのかもしれません。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、「負けず嫌いナンバーワン！　大隈重信」として、8月17日に放送しました。

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＜番組概要＞
番組名：「シンクロのシティ」
放送日時 ：毎週月〜木曜15：00〜16：50
パーソナリティ：堀内貴之、MIO
番組Webサイト：http://www.tfm.co.jp/city/