2015年1−7月、中国自動車市場における韓国車の販売台数は前年比で大きく減少した。韓国車はそれまで中国で極めて好調な販売を続けていたため、中国自動車市場の減速に伴い、前年に比較すると大きな落ち込みに見えたという考え方もできる。中国メディアの搜狐汽車はこのほど、韓国車メーカーが中国で低迷した原因について分析する記事を掲載した。(イメージ写真提供:(C)  Jaromir Urbanek.COM)

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 2015年1-7月、中国自動車市場における韓国車の販売台数は前年比で大きく減少した。韓国車はそれまで中国で極めて好調な販売を続けていたため、中国自動車市場の減速に伴い、前年に比較すると大きな落ち込みに見えたという考え方もできる。中国メディアの搜狐汽車はこのほど、韓国車メーカーが中国で低迷した原因について分析する記事を掲載した。

 記事が伝えている原因の1つは、韓国車メーカーが「ハイスペック路線」に頼っていたという点だ。韓国メーカーは中国自動車市場への参入時、ドイツ系や日系などの自動車メーカーに比べて「ブランド力」で劣っていたため、「ハイスペック路線」で他社に対する優位性を確立、シェアを獲得しようとした。

 例えば東風悦達起亜のK5(オプティマ)のスペックは同じ中型セダンであるフォルクスワーゲンのパサートやトヨタのカムリを上回っていると記事は主張している。しかし、ドイツ、米国、日本など他社メーカーもハイスペック車を投入し始めたことにより、韓国車の競争力が相対的に弱まり、さらに中国国産車の品質も一定の水準にまで向上したことから、消費者はコストパフォーマンスのより優れた国産車を選ぶようになったと分析した。

 確かに各車メーカーが韓国車と同じようにハイスペック車を投入すれば、消費者はスペック以外の部分、つまり車の燃費や安全性や価格などの要素に注目するようになる。中国では「日系車は燃費が良い」という評価が一般的で、価格なら中国自主ブランド車、また安全性で選ぶならドイツ車という見方が多い。「ハイスペック」が中国人消費者の心を引き寄せる決定的な要素でなくなれば、韓国車が他社に対する比較優位を保つことは難しくなる。

 だが、韓国車も中国で徐々に息を吹き返し始めており、記事は「韓国メーカーが新しいモデルを次々に発表したことが曲面打開に役立った」と伝えている。韓国メーカーには主力車種のモデルチェンジが長い間なかった。この点は記事も言及しており、例えばある韓国車の2013年モデルの価格が中国自主ブランド車と同等の水準まで低下したとしても、競争相手が次々と新しいモデルを発表する状況下で、消費者は「韓国車の古いモデルを選ぶことはない」と伝えている。

 中国自動車市場は世界最大の市場だ。各社がシェアをめぐって激しい競争を繰り広げており、韓国車の事例は過去にうまくいった戦略もやがては陳腐化し、調整を迫られることになることを示している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)  Jaromir Urbanek.COM)