「あんちゃん、出番だよ!」バイプレーヤー俳優・津田寛治を誕生させたのは北野武だった

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今や、名脇役としてドラマや映画には欠かせない存在となった津田寛治。

今年の4月〜6月のクールではTOKYO MXのドラマ『食の軍師』で連続ドラマ初主演を果たし、現在もテレビ東京の『初森ベマーズ』では、ほとんどのキャストが乃木坂46という中、重要な敵役を演じている。

そんな津田のデビューまでの経緯は意外なものだ。
映画に関わる仕事がしたいと思い描いていた津田は、様々なアルバイトをしながらチャンスを伺っていた。そのバイトの中には「テレビの大道具」もあった。そこでは『徹子の部屋』や『ミュージックステーション』のセットを作ったこともあったという。

そんなバイトと並行していろいろな舞台や新劇などにも挑戦していたが、「俳優として打つ手がなくなっていた」。だから津田は当時所属していた事務所をやめ、自分を見つめなおすためにも、映画を見まくった。自分は元々、どんな映画が好きか、そんな映画に出たいのかを再確認していったのだ。

そんな時、転機が訪れたのだ。その経緯を津田は『バイプレーヤー読本』のインタビューで語っている。

当時、津田はある録音スタジオの1階の喫茶店でバイトをしていた。そのスタジオに映画の編集のため北野武があらわれたのだ。映画を見直し北野映画に出たいと思っていた津田は武にプロフィールと手紙を渡したのだ。だが、その後何の音沙汰もなかった。

ところが数カ月後、武は新作の打ち合わせのために再び喫茶店にあらわれた。その映画こそ『ソナチネ』だった。

「あんちゃん、出番だよ!」

津田のことを覚えていた武は、急遽、津田のために役を作ってくれたのだ。最初はたった一言だったセリフは、津田の演技を受け、5行に増えていった。
それがきっかけになりどんどんドラマや映画に出演が増えていった津田は、ついにはかつてセットを作っていた『徹子の部屋』にもゲスト出演するのだ。

文/てれびのスキマ



■参照リンク
津田寛治 公式サイト