国連が発表・・・地球温暖化による海面上昇は「加速」している
1988年に設立されたIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)によれば世界規模の海面上昇の原因は地球温暖化で『氷が溶ける』からではなく、『海水の膨張』によるものとしている。
そのIPCCが2013年に世界の平均海水面が1901年〜2010年の110年間に計19cm(年平均1.7mm)上昇したと発表した。
海面上昇は温暖化による海水の膨張が原因
今回の発表での第5次報告書の中で1993年〜2010年の間に海面上昇の速度が平均で年間3.2±0.4mmに加速していたと指摘している。
一方、昨年公開されたアニー・カズナーヴ氏の研究によれば過去10年間の海面上昇率がその前の10年間に比べて著しく低減していたとしている。
ただ双方の発表とも人工衛星による観測データをベースにしているものの『鉛直陸地運動』、つまり地球の地表における自然変動(沈降、地震、隆起)に関する変数が考慮されていないという。
氷河期が去った後、北半球の一部にそれまで氷河で押し潰されていた陸地が反発して上昇を続けている地域が存在するため、この『鉛直陸地運動』を考慮する必要があるという訳だ。
そこで、タスマニア大学のクリストファー・ワトソン氏が英科学誌『Nature Climate Change』に世界中の海の潮位計から得たデータに統計的な補正を加えることで、バイアスドリフト(陸地の動き)を加味した海面上昇に関する研究結果を公開した。
海面上昇が加速している?
同氏の研究結果、1993年から2014年半ばにかけた海面上昇量が年間で2.6‐2.9±0.4mmだったことが判明したそうだ。
特に1993年以降6年間に渡って陸地の反発上昇が見られることから、海面上昇値を年0.9‐1.5mm分減少させる必要があった模様。
ワトソン氏によれば海面上昇速度が実際には低下ではなく上昇していることを意味しているという。
沿岸地域では注意が必要に
IPCCは今世紀末までにCO2の排出量によっては40-63cmの範囲で海面上昇すると予測しており、誤差範囲を考慮した場合は最大82cmにまで拡大する可能性があるとしている。
海面上昇は洪水や土地の浸食を引き起こすだけに、これらのシミュレーションが正しいとした場合、海抜が低い沿岸地域や島々では、将来に備えた対策が必要となりそうだ。
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【参考・画像】
※ AFP BBニュース
※ IPCC
※ Nature Climate Change
※ タスマニア大学