龍谷大平安vs立命館

写真拡大 (全2枚)

負けずに夏へ!

3安打3打点の4番・西川寛崇(龍谷大平安)

 「前のチームから続けてきていたので、何とか伸ばしてやりたかった。それがこの大会の第一目標でした」。 春季大会連覇を果たし、一昨年秋からの京都大会5季連続優勝、府内公式戦26連勝にまで伸ばした龍谷大平安。原田英彦監督は京都で負けずに夏へ挑む権利を手にした選手の頑張りを褒める所から話し出した。

 指揮官が次にポイントに挙げたのが二番手・大野 将輝(2年)の好投だ。マウンドに上がったのは3点差を追いつかれ、なお二死二塁と一打勝ち越しを許しかねない場面。「パッと流れを切ってくれた」と原田監督が話したように、大野はわずか1球で立命館の8番・西山太規(3年)をセンターフライに打ち取ってピンチを凌いだ。

 その裏に相手のフィルダースチョイスで勝ち越した龍谷大平安は、6回の攻撃で3点を追加してマウンドの大野を楽にした。指揮官はこの3点についても、「大野がピンチを凌いだ所から繋がっている」と2年生右腕を褒めた。

 そしてもう一人、「やっと4番らしくなってきた」と褒められたのが西川 寛崇(3年)。準決勝(福知山成美戦)で本塁打を放った4番は、決勝でも1回に先制打を放つなど3安打3打点の活躍。中でも「前の打席で打てなかったのを、次の打席で返せた」と指揮官が挙げたポイントが6回のタイムリー。西川は「僕の悪い癖であるバットが遠回りになっている所を修正できた」と分析し、指揮官から褒められていたことを聞くと笑顔を見せた。

 春の選抜大会のベンチ入り選手六人が外れ、九人が公式戦で初めてベンチに入った今大会。大きく入れ替わる中で、不動だったのが4番・西川。新たに抜擢された1番・小川 晃太朗(2年)と2番・久保田 悠(2年)が徐々に疲れてきていると原田監督は感じていただけに、こういう時に柱となった西川の活躍は大きかったと言えるだろう。

 「初めてベンチに入り、経験がない選手が多い。自分は去年のチームからベンチに入れさせていただいだり、4番を打たせていただいている。引っ張らないといけないという意識は強いです」と西川は現状で自分に課せられている役割がいかに大きいかを話した。

 褒めるコメントが多かった原田監督だが、試合中には主将の吉村 颯(3年)を中心に何度か厳しく叱責する姿も見られた。間髪入れずに次週からは近畿大会が始まる。「甲子園常連校も多く出てくる。その中でどういう気持ちを持って戦えるか」とさらに夏へ向けて発奮してほしいとの思いも感じられる。近畿大会でどれだけ怒られ、そして褒められるだろうか。

 一方敗れた立命館だが、4回に3点差を追いついた攻撃はどちらがリードしているかわからないほどの勢いがあった。特に死球と内野安打で無死一、二塁として龍谷大平安の内野陣がマウンドに集まった時には、「王者が先にタイムを取ってくれたぞ」との大きな声がベンチから上がった。ここから6番・森本佳太郎(3年)と7番・山本 翔也(3年)が連続タイムリーを放ち同点に追いついた。その後は龍谷大平安のリリーフ・大野に流れを断ち切られたが、夏へ向けてもの凄く大きな意味を持つイニングになるかもしれない。

 シード順位が2位となった立命館。もう一度夏に対戦するとすれば春と同じ決勝になる。王者への再戦を目指して、残り2カ月をきった夏までの期間の練習に取り組む。