龍谷大平安vs福知山成美

写真拡大 (全2枚)

府内25連勝で5連覇に王手

7回に決勝適時打を放った1年生の岡田悠希(龍谷大平安)

 2013年秋から京都府内では負けなしの24連勝、4季連続優勝中と圧倒的な強さを見せる龍谷大平安は今大会も順当に勝ち上がり準決勝に駒を進めた。

 ライバル・福知山成美との試合を前に、原田監督はベンチ入りメンバー8人を入れ替え、3年生は20人中10人だけ。1番に小川 晃太朗(2年)、2番に久保田 悠(2年)を起用し、ライトには「思い切りがいい。どれだけのメンタルを持ってるか見てみたかった」と岡田 悠希(1年)を抜擢した。

 初回に小川の二塁打を足掛かりに先制点を奪うと、同点の7回には岡田が無死一、三塁からレフト前へ決勝タイムリーを放ち勝ち越しに成功。ブルペンでは大野 将輝(2年)、市岡 奏馬(2年)が勢いのある球を投げ込むなど楽しみな下級生が揃う。

 夏を見据えながらという側面もあった試合だが、2点リードの8回に先発・元氏 玲仁(3年)が連打を浴び無死一、二塁のピンチを招くとエース・高橋 奎二(3年)をマウンドに送る。「勝ちに行った」と切り札を投入した。高橋は福知山成美の4番・西元 正輝(3年)にタイムリーを浴びたものの後続を断ち、その後も同点のホームを踏ませず試合を締めくくった。

 原田監督を喜ばせたのは2回無失点という投球内容以上に「1点取られた後残念そうな表情を見せた。その辺の自覚あるんじゃないかな」というエースとしての姿。逆に大反省を促したのが、力のあるストレートで8回途中3失点と試合を作った元氏と、三塁打が出ればサイクルヒットだった4番の西川 寛崇(3年)。

 元氏は2回無死一塁からスリーバントを失敗している。「送りバント失敗で、自ら流れを悪くしてる。次のバッターも初球を打ち上げて」元氏のバント失敗の後は8番・城ヶ原 和宜(3年)が初球を打ってライトフライ。初回に2本の長打を浴びせ、2回にも先頭打者に死球を与えるなどしていた福知山成美の先発・川上翔(2年)に立ち直るきっかけを与え、5回まで4イニング連続で0を並べられた。

エースとしての自覚を見せた高橋奎二(龍谷大平安)

 西川 寛崇は1点を追う6回に同点とする本塁打を放ち、この時点で3打数3安打としたが、8回無死二塁と絶好の場面では力のないサードゴロ。原田監督の指示は「低めは捨てて高めを張れ」だったが低めの球に手を出した挙句ランナーを進められず。この後二死三塁から三走・城島 大輝(3年)が、キャッチャーがワンバウンドの投球を弾くと好判断で生還を果たし最終的には4対3で勝利したが、この1点が無ければ試合は延長戦となっていた。

 たとえ試合前日であろうとも、練習でミスがあれば夜遅くまでボール回しを徹底させるなど隙の無いきっちりした野球を目指すのが龍谷大平安のスタイル。それだけに原田監督にとっては高橋 奎二が見せたエースの自覚よりも、平安らしからぬ攻めの方が強く印象に残ったかもしれない。

 一時リードを奪いながらも1点差で敗れた福知山成美。最終回に登板したエース・大村 凌(3年)は3者連続三振と圧巻の投球を見せたが、先発した川上、2番手・矢野目和磨(3年)、3番手・中田貴大(3年)がそれぞれ立ち上がりと代わり端に失点。連戦の多くなる夏へ向けて投手陣の底上げは避けては通れない課題だ。

 福知山成美は昨年、春夏秋全てでベスト8入りすら逃すという屈辱の1年を過ごし、その間に龍谷大平安の独走を許した。龍谷大平安の4連覇が始まるその前の大会、2013年の夏を制した(試合レポート)のは福知山成美。この日も試合には敗れたものの、相手を上回る8安打を放ち、終盤にエース・高橋を引きずり出すなど十分に渡り合えるだけの力は見せた。この夏も優勝候補の一角として王者を止める1番手候補だ。

(文=小中 翔太)