泣き悲しむオスカルを見て、言葉をかけたラーム (撮影:フォート・キシモト)

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ブラジル国内ではドイツに1─7で惨敗した「ミネイランの悲劇」がまだ尾を引いている。おそらく一生、大げさではなく本当に一生言われ続けることだろう。それだけ歴史的な敗戦だった。

その要因を探れば枚挙にいとまがないが、一つ言えるのは、スタンドを含めブラジル全土の感情的な雰囲気が、より傷を深くしたということだね。開催国、それもただの開催国ではなく、サッカー王国を自負するブラジルだ。そこにネイマールの負傷が重なり、試合前は本当に異様な雰囲気だった。この試合だけではない。どの試合でも国歌が流れるたびに、選手や観客が涙を流すのだ。

この雰囲気の中で、ブラジルはドイツに勝とうとした。相手の強さを認めずに、ブラジルらしいやり方で戦おうとした。そこであっさり先制点を奪われ、ひどいミスから2失点目。これで頭の中が真っ白になったのだろう。もうどうしようもなかったね。

描きすぎたものが大きすぎて、7失点惨敗という結果とのコントラストに、みんなが心を痛めている。そのサッカーを冷静に見れば、ドイツに負けることはまったく驚きではなかったけど、7失点はさすがに予想できない。けれど中途半端ではなく徹底的にやられたことで、ブラジルにとって自分たちを見つめ直すいいきっかけになるかもしれないね。

昨今のブラジルは明らかに課題を抱えている。例えばネイマール以外パッとしたFWがいないのは今大会でも証明された。あまりにも無残に白日の下にさらされた課題に対してどうするか。長い目で見れば、かならず良い経験だったと思える時、いつかドイツに感謝する時が来るよ。