改修前の国立競技場での最後の日本代表戦、みんなはどういう感想を持っただろうか。ニュージーランドと戦って4─2。前半早々に4点のリードを奪った時点で試合は決し、その後は弛緩した雰囲気の中で、2失点を喰らうおまけまでつく体たらくで、淡々と時間が過ぎていった。一言で言って残念な試合だった。
  
このマッチメイクは、3年前、東日本大震災の影響で実施できなかったことも踏まえ、日本側から持ちかけたというが、狙ったか狙っていないか、まさにそうした背景にふさわしいチャリティマッチのような試合になったね。
 
W杯イヤーの初戦、限られた国際試合の機会であるはずが、何のテストにもならなかった。長谷部誠や内田篤人がいない影響、山口蛍と青山敏弘の組み合わせ、その他いろいろあるけど、この試合では何も判断しようがない。唯一はっきりしたことと言えば、所属クラブで不調の本田圭佑、そして試合に出ていない香川真司という2大エースと呼ばれる2人の状態が、かなり悪いということだろう。代表戦で復調をアピールしたいはずが、不調さが目立つ結果になってしまった。本田は最後までリトル本田のままだったよ。
 
唯一褒められるとすれば、岡崎慎司だ。どんな相手、どんな状況でもゴールを目指す姿勢が、2得点につながった。緩んでいないのは彼だけだったんじゃないか。ところが明日の一面は、おそらく岡崎ではない。それが日本の一番の問題だとも言える。メディアは本質を無視した煽りに終始し、ファンは来日スターのコンサートを見にきているかのようなノリで、あの体たらくにブーイングの一つも出ない。試合中継の合間に流れるCMでは、ザッケローニ監督が俳優よろしく演技をしている。いったい日本代表とは何なんだろうね? 

国立競技場は、サッカーの聖地だった。サッカーがまだ今ほど盛り上がっていなかった時代、各地にスタジアムなどないから、大きな試合はほとんど国立で行ってきた。1993年のJリーグ開幕もここだ。ひたむきにサッカーに取り組んできた時代を知る国立で行われた最後の試合が、興行にまみれたひどい体たらくだったのは非常に残念だ。あの風神雷神様は、一体今日の試合をどんな気持ちで眺めていたかな。