中国で「古代マヤに2012年12月21日に人類が滅亡するとの予言があった」という噂が、ますますエスカレートしている。江蘇省南京市の地元紙、揚子晩報は「次の金曜は“世界最後の日”なのか?」とする記事を掲載。中国新聞社なども転載した。

 「噂」に輪をかけたのが、日本で7日に発生した地震だった。“予言にもあった。当たった”との声が駆けめぐった。さらに「人類滅亡の時間は21日午後3時14分35秒」、「そういえば、21日は中国の伝統行事の日、冬至だ」などの声もでた。

 やや“科学的”な説としては「大型の小惑星、トータティスが12日、地球の近距離を通過した。トータティスが21日、あたらめて地球を直撃するのでは」との意見が出た。

 ただし、メディアは「地球は常に、大きな小惑星との危険にさらされている」と説明した上で、「天文学の専門家の観測によると、これから200年以内に直径1キロメートル以上の小惑星が地球をかすめるようなことはおこらない」と紹介した。

 江蘇省南京市の地元紙、揚子晩報によると、街頭で20人に「12月21日が世界の最後の日になると思いますか」と質問したところ、19人が「信じない」と回答。1人だけが「その日にならなければ、分からない」と答えた。 大学生などの間では、21日の“世界最後の日”に、友人が集まってカラオケ店に行ったり「飲み会」を開いたりする動きがある。「最後の日」を「お楽しみ」の口実にする遊び心だ。

 一方で、四川省の一部地域では「12月21日から3日間、太陽が昇らず電力も途絶える暗い日が続く」との噂が発生し、ローソクやマッチなどが飛ぶように売れた。

 その他、「最後の日ジーンズ」、「最後の日美顔パック」、「最後の日プーアル茶」、「最後の日、観光ツアー」などの“関連商品”も次々に売り出された。インターネットでは「ノアの方舟乗船券」も発売された。

 揚子晩報は、「皆様に忠告します。21日の“最後の日”が過ぎても、支払いのツケは残りますから」と皮肉った。

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◆解説◆ トータティスの軌道は厳密に計算されており、12日に地球に接近した後、“気分”を変えて再接近するとは思えない。これは、古代からの天体観測と、17世紀にケプラーやニュートンなどにより確立された惑星の運行法則とその原理にもとづく「推測」だ。原則的な物理法則が変わることを心配するぐらいなら、原子の構造が突然変化して、人間の体が崩壊するのではないかと心配した方がよい。(編集担当:如月隼人)