北朝鮮の指導者金正恩氏が、軍部隊の栄養失調者をなくすよう繰り返し指示していたことが分かった。北朝鮮人民軍兵士の栄養失調は厳しい状況で、兵士の入隊基準が身長143センチ、体重37キロともいわれている。複数の韓国メディアが報じた。

 実質ミサイルとみられる人工衛星の発射に、巨費を投じている北朝鮮の食糧事情は深刻で、児童たちの栄養失調はもちろんのこと、人民軍兵士の栄養状態も戦力にならないほどだという。そのため、人民軍兵力の確保が難しくなり、人民軍に入隊するための身体条件も何度か下方修正されたというのが情報筋の証言だ。

 韓国メディアによると、1990年代初頭までは入隊の条件として身長150センチ、体重48キロと定めていたが、兵力の確保が難しくなったことから90年代半には身長148センチ、体重43キロまでに下方調整したという。最近となっては、身長143センチまで、体重37キロまでにさらに引き下げたとの報道もある。

 特に、近年軍における厳しい食糧事情がたびたび報じられているが、栄養失調は過半数、餓死する兵士も続出し、軍には栄養失調を減らすための「栄養失調者保護所」があるほどだという。飢えを凌ごうと民家に押し入って食料を略奪する兵士や、強い不満から反乱をおこす兵士がいるなど、人民軍兵士の食糧難は想像を絶すると伝えられている。

 米自由アジア放送によると、金正恩氏は軍兵士たちの栄養失調問題を重視しており、指導者になってから17回も軍部隊を訪問した際に各部隊の将校に交代で特別食を供給するように指示したため、将校から不満の声が上がっているという。(編集担当:金志秀)