26日、都内で開催された「東京マラソン」には“最強の市民ランナー”としてすっかり有名になった川内優輝(埼玉県庁)が出場を果たすも、給水を失敗するなど苦しいレースとなり、日本人では9番目となる2時間12分51秒の14位でフィニッシュした。

昨年12月の福岡国際マラソンでは、日本人トップの3位となり、五輪選考にも有力とされたが、今回の結果で選考から一歩後退。レース後、本人は「選ばれるとは思ってない」と肩を落とした。

それでも、実業団からの誘いを受けることなく、春日部高校定時制で事務を担当しながらトレーニングに明け暮れる日々を過ごす川内。その揺るがない強さは、子供の頃に母・美加さんと二人三脚で作り上げたトレーニングの賜物、日本テレビ「Going! Sports&News」(25日放送分)では、川内と母・美加さんの談話を紹介した。

母と子の二人三脚――といわれれば、美しい親子愛を想像しがちになるも、母・美加さんの指導は壮絶を極めたばかりか、毎レースのゴール後は必ずぶっ倒れるほど、川内が全て出し切る全力疾走を続けている礎にもなっている。

「母親と練習していて、毎日タイムトライアルで全力疾走だったので。小学校時代の6年間、今同じことをやれと言われたら絶対できない」と苦笑いを浮かべる川内。

その練習とは、中学高校時代は陸上部だったという母・美加さんが、埼玉県久喜市の沼井公園に連れていき、タイムを計って練習させていたというシンプルなものだが、美加さんは「大会が1500mだったら、1500mのタイムを計る。ここに立っていると(公園内を)走っている様子が木々の間から見えるんですね。(過去の記録より)タイムが1秒でも遅いと罰ゲームがありまして、1500mを走った後なんですけど、少し休ませてからもう1周走らせるんです。もう1周走らせたのもタイムがよくないとまた追加なんですね。今思うとやり過ぎだったのかなと思ったりもしますが、今も走ってくれてますからね」と嬉しそうに明かす。

6年間、毎日記録の更新を迫られ、これができないと追加で走らされるという壮絶なトレーニングを続けていた川内は、「全く楽しくなくてイヤイヤで、雨が降ると中止だったので、すごく喜んでいました。よくあの練習に6年間耐えてきたと思います」と振り返るのだった。