明けましておめでとうございます。２０１２年も日刊埼玉西武ライオンズをどうぞよろしくお願いいたします。


さて、今年一番最初に書く内容はＦＡを行使しホークスに移籍した帆足和幸投手の人的補償についてだ。早ければ２〜３日中にソフトバンク球団のプロテクトリストが西武球団に届けられると言う。その内容がどのようなものになるかはまだ定かではないが、一部の報道によれば松中信彦選手と多村仁志選手がリストから漏れる見込みだと言う。

筆者の個人的意見を言わせてもらえるならば、松中選手の西武入りは歓迎だ。２００６年に豊田清投手の人的補償として巨人から西武入りした江藤智選手が、中村剛也選手にホームランキングとしての帝王学を伝授したように、松中選手にもこれまでの豊富な経験を西武の若き選手たちに注入して欲しい。しかしもっと冷静な目で、チーム作りということに主眼を置けば、松中選手の西武入りには待ったをかけざるを得ない。その理由は守備にある。

松中選手は主にレフト、ファースト、ＤＨに入る選手だが、西武球団はこれらのポジションはすでに補強を済ませてしまっている。まずレフトだが、栗山巧新主将がセンターに戻ったとしても、松中選手の膝の具合を考えるならばレフトでの起用は心もとない。そしてファーストに関してはヘルマン選手、カーター選手に加え、中村剛也選手が入る公算も高い。またＤＨに関しても両外国人選手がいて、さらには大崎雄太朗選手の存在もある。つまり松中選手がよほど打ってくれない限り、松中選手を起用するポジションがないのだ。


もし松中選手の年俸が５０００万円前後であるならば、かつての江藤選手のように主に代打の切り札として起用するという選択肢も生まれる。しかし松中選手の昨季の年俸は２億円と高額で、１月中に行なわれる契約更改を済ませても、一般的に考えれば１億円を下回ることは考えにくい。これだけの高額年俸選手をレギュラーを前提として使えないというのであれば、いくら松中選手が素晴しい選手とは言え、獲得することに純粋に賛成することはできない。ソフトバンク球団は一気に年俸を下げるという契約交渉を行なう球団だが、そこで年俸が１億円を大きく下回らない限り、西武球団は人的補償として松中選手を獲得すべきではないだろう。

だが一方の多村選手の場合は話は異なる。多村選手は故障に弱い面はあるが、近年は大幅に出場試合数が減ることも少なくなって来ている。恐らく故障に対するケアが上手になって来ているのだろう。それに対し昨季の年俸は１億８０００万円。恐らく契約交渉を終えれば１億円前後に年俸は抑えられるのではないだろうか。多村選手の打撃技術、守備力を見れば、怪我さえなければ迷わず外野のレギュラーとして起用することができる。

レフト栗山選手、センター秋山選手、ライト多村選手という布陣を敷ければ、被三塁打の多かったライオンズの外野も一気に強化されることとなるだろう。多村選手は打撃技術だけではなく、守備に関しても高い技術を持っており、守備範囲も広い。この守備力を栗山選手らに伝えてもらえれば、近い将来まさに鉄壁の外野陣を形成できることとなる。また、打力を見ても中島裕之選手が抜けるであろう穴を埋めるには、十分過ぎるものを持っている。
※中島裕之選手はポスティングによる移籍となるため、ヤンキースとの交渉が成立しない限りは西武球団の選手となる。

分析と言うには程遠い内容ではあるが、以上のようなことから、もし多村選手がプロテクトリストから漏れた場合、西武球団は迷わず多村選手を獲得すべきだと筆者は考える。ちなみに投手陣の３本柱が抜けたソフトバンク球団であるため、主軸投手がプロテクトリストから漏れる可能性は低く、強力なリリーバーを人的補償として獲得することは難しいだろう。このような見方をしても、やはりリストから漏れていた場合、多村仁志選手をチームの勝利のためにも獲得すべきだと筆者は考えている。