■ 第33節

7勝14敗11分けで16位のヴィッセル神戸と、15勝8敗9分けで5位の清水エスパルスの対戦。神戸は降格圏内で、15位のFC東京との差は「3」。もし、この試合に敗れて、17:00キックオフの試合でFC東京が引き分け以上の結果に終わると、J2降格が決定する。対する清水は3連勝中である。

ホームの神戸は<4-2-2-2>。GK徳重。DF石櫃、北本、河本、茂木。MF三原、田中、ボッティ、小川。FW吉田、ポポ。FW大久保は怪我のため欠場。怪我のFW吉田は強行出場。高校3年生のMF小川は7試合連続スタメンとなった。

対する清水は<4-1-2-3>。GK西部。DF市川、平岡、岩下、太田。MF本田拓、兵働、伊東。FW藤本、ヨンセン、岡崎。MF小野は欠場。ベテランのMF伊東がスタメン出場。MF伊東は今シーズン5試合目のスタメン

■ 神戸が勝利

試合の序盤は清水ペースで進む。神戸は中盤でミスが多く、なかなかリズムに乗れない。清水はFWヨンセンを起点にリズムよくボールが回るが、決定機まではなかなか至らない。神戸も右サイドのDF石櫃が積極的に上がって攻撃に絡むが、中央に高さがないので、あっさりとクリアされてしまうケースが目立ってしまう。前半は、両チームともに積極的にシュートを放ったが、ゴールは奪えず。0対0で終了する。

後半は何としても勝ちたい神戸が前掛かりになって試合の主導権を握る。押し気味だった神戸だったが、後半30分に中盤で気の利いたプレーを見せていたMF田中が2枚目のイエローカードで退場。10人となる。これで絶体絶命のピンチになった陥った神戸だったが、後半38分に先制ゴールを奪う。右サイドからDF石櫃がミドルシュートを放ち、こぼれたボールをフリーでMF小川がシュート。このシュートうまくヒットしなかったが、ゴール前につめていたDF茂木が押し込んで値千金の先制ゴールを奪う。DF茂木は今シーズン2ゴール目。

その後、清水が猛攻を見せるが、神戸がDF北本を中心に体を張った守備で守り切って1対0の勝利。ひとまず、勝ち点でFC東京に並んで、最終節まで残留の可能性を残した。一方の清水は連勝が3でストップした。

■ 会心のゴール

シーズン途中に三浦監督から和田監督に交代した神戸は、最初の5試合は2分け3敗と苦しんでいたが、ここ6試合で3勝3分け。しかし、大宮や仙台、FC東京といったライバルチームもここに来て勝ち点を積み上げてきており、なかなか残留圏から抜け出せずに、降格のピンチを迎えているが、厳しい試合を勝ちきって可能性を残した。試合は0対0で進んで、このまま引き分けると、夕方の試合でFC東京が勝利すると今日のうちに降格が決まってしまう展開になったが、DF茂木の救われる形になった。

神戸は日本代表のFW大久保が怪我で欠場中で、ザスパ草津から獲得したFW都倉や、韓国人のFWイ・ジェミンもチームにフィットしきれず。ストライカー不足に苦しんでいて、0対0の状況で試合が進んでもフォワードを投入できない弱さがあるが、元フォワードのDF茂木が救った形になった。

■ 18歳の小川慶治朗

そのDF茂木のゴールを記録上ではアシストした形になったのが高校3年生のMF小川。残留争いを続けるチームの中で、7試合連続スタメン出場。シュート精度に欠ける印象があって、この試合でも2度のビッグチャンスを逃したが、最後にゴールに絡んだ。

MF小川はプラチナ世代の一人であるが、華やかなプレースタイルではなく、実践的でクレバーなタイプの選手である。運動量も多くて、守備でも貢献できる。スピードもあるので、相手にとっては捕まえにくい存在である。まだ、プロの試合の経験は少ないので、アタッキングエリアに入ってきたときにアイディアを欠くシーンも見られるが、高校生でここまで戦力になっているのは立派であり、ここ6試合では3勝3分けと調子を上げてきたチームの原動力となっている。

■ 最終節はレッズ戦

これで神戸はあと1試合。最終節はアウェーで浦和レッズと対戦する。埼玉スタジアムでの試合ということで、楽な展開にはならないだろうが、この試合で見せた積極性を出していければ、チャンスは作れるだろう。今の神戸はFWポポの1トップに近い布陣であることからわかるように、ストライカーがいない。よって、確実にゴールを期待できる選手はいない。この日と同様に、チャンスを作っても、決めきれない展開になるかもしれないが、諦めずに続けていく必要がある。

清水戦の勝利で、勝ち点「35」となったので、この時点で、仙台、大宮、FC東京までが射程圏内である。この3チームの33節の結果次第ではあるが、残留の目は出てきた。最善の策をつくして、最終節を戦いぬきたいところである。MF田中を出場停止で欠くのは非常に痛いが、希望はつながった。

キーマンはMFボッティだろう。この日は清水の中盤のプレッシャーが強かったので、MFボッティのところであまりボールが落ち着かなかった。浦和戦はレッズがボールを支配して、神戸がカウンターで仕掛ける展開が予想される。幸いにして、FWポポ、FW吉田、MF小川といった選手はスピードがあるので、いかにカウンターになったときにMFボッティがいいパスを送れるかが勝負となるだろう。もちろん、MFボッティに生きたボールを供給する役目のボランチも仕事も重要となる。出場停止のMF田中の代わりに誰を起用するかも、ポイントになるだろう。

■ ゴールは奪えず

一方の清水は前半は押し気味に試合を進めていたが、後半は劣勢になってしまった。途中出場のFW大前のパスからFW藤本が決定的なシュートを放つシーンもあったが、ゴールネットは揺らせず。数的優位になった後も、その利点を生かせなかった。

これで清水は勝ち点「54」のままで、33節にC大阪が湘南に勝利すると、C大阪の4位以内が確定するので、清水のACL出場権獲得の可能性がなくなる。ここ最近は3連勝と調子を挙げていたが、降格がかかったチームと戦うのはやはり難しいものであり、攻めきれなかった。




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