ブンデス第10節、最注目の首位対決は、アウェイのドルトムントがマインツを破って首位に返り咲いた。

点差は0-2とドルトムントの快勝ではあったが、内容的には緊迫した展開で、序盤は激しいプレスからサイドを中心に、アラギのスピードに乗った突破や、長身のサライにアーリークロスを合わせる合理的な攻撃にドルトムントは防戦一方に立たされる。

10分を過ぎて相手の勢いが落ちてくると、徐々にドルトムントの前線が流動的に動いてバイタルエリアのスペースで基点を作る攻撃が機能し始め、27分に香川のパスからつないで最後はゲッツェが足元に吸い付くようなドリブルでDFを交わし、ゴール隅にシュートを決めてドルトムントが先制する。

後半開始早々に、マインツはPKをゲットしたがポランスキが蹴ったボールはドルトムントGKヴァイデンフェラーの飛んだ方向にどんぴしゃで当たり、これでマインツは落胆するかと思われたが実際は全くの逆で、中盤で細かくパスをつないで相手ゴールに迫ると言う、ドルトムント顔負けのパスサッカーで攻め立て始める。

ドルトムントは相手のシュートミスにも助けられてマインツの猛攻を何とか耐え忍んでいたところ、GKがかろうじて手ではじくナイスシュートを香川が放った事で試合の流れはまたドルトムントに傾き、右からドリブルで中へ切れ込んだゲッツェからバリオスにパスが通り、バリオスは落ち着いてDFを交わして2点目をゲット。これで事実上は勝負あり。

確かに点を取ったのはドルトムントの前線だけど、決定的なピンチというところを最後まであきらめずに体を張ったり足を投げ出したりして得点を阻み続けた守備陣が、この首位を奪還する勝利の立役者だよね。

香川については、2本ほど良いシュートは打ったものの、何となく味方を見ながらおずおずと動き出しをしているようで、俺に出せ!という自己主張があまり感じられない大人しい動きに終始していた。

まあ、ゲッツェのように足元にボールをくっつけてドリブルというよりは、一瞬のキレとアジリティで勝負をするタイプなので、研究されて足元のスペースを消されている現状では勝負しにくいものがあるのは確かだし、サヒン以外のドルトムントの選手にあまりパスセンスが無く、瞬時にパスコースを見つけてボールに回転をかけたり浮かせたりして短く狭い距離を確実につなげられる香川のセンスがチームに欠かせないものになっているからだとは思うけど、それって単に地蔵化しつつあるだけなんじゃ、という心配もついしてしまう。

香川は守備のカバーにもしっかり走るので、厳密には完全な地蔵になるわけじゃないだろうが、周りを生かすだけじゃなくて、もっと個人で勝負できるところをアピールしていかないと、ドルトムントならいいけどビッグクラブでは単なる便利屋さんで終わってしまう事になりかねない。誰とは言わないが(笑)諸先輩方の教訓を忘れずに、チャレンジしてもらいたいところである。

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