プレミアリーグ開幕から5連勝を飾り、21ゴールを挙げている好調チェルシー。この素晴らしい序盤戦の秘訣は、元フランス代表MFジネディーヌ・ジダン氏にあるのかもしれない。もちろん、チェルシーがジダン氏を獲得したというわけではなく、チェルシーを率いるカルロ・アンチェロッティ監督がチームのメンバーに応じてフォーメーションを変えられるようになったのが、ジダン氏のおかげということだ。

話は10年前にさかのぼる。アンチェロッティ監督がユヴェントスを指揮し、ドレッシングルームにジダン氏がいたときのことだ。ジダン氏の疑いの余地のないクオリティーを十分に生かすには、自身の戦術的先入観を捨て去り、ジダン氏に自由にやらせることだと、アンチェロッティ監督はすぐに気づいたそうだ。英紙『インディペンデント』に対し、アンチェロッティ監督は次のように話している。

「私は監督を始めたころ、チームに自分の考えを伝えようとしていた。選手たちの特徴ではなく、フォーメーションを考えていたんだ。4-4-2で戦いたかった。2年間はそうしたよ。だが、ユヴェントスの監督に就任するときまでだ。ジダンは左サイドではなく、中央でプレーしたがった。それで私は構成を変えたんだ。勝者のフォーメーションというのは存在しない。4-4-2で戦うことも、4-3-1-2で戦うこともできる。大事なのは、選手たちの適性を見て、チームを正しい形にすることなんだ」

アンチェロッティ監督はチェルシーでも最初からそのように適応してきた。当初はミランで成功したフォーメーションを採用しようとしたが、その後ジョゼ・モウリーニョ監督時代の4-3-3に変更したのである。その方が選手たちにより適しているからだ。ただ、一つ違うのは、アンチェロッティ監督が採用している3トップ(ディディエ・ドログバ、ニコラ・アネルカ、フローラン・マルダ)は、より本能やそのときの状況に応じて自由に動いているということだ。

ただし、アンチェロッティ監督は「逆に守備に関しては、より規律が必要になる」と話している。