対バーレーン戦、疑問だらけの90分

欧州組を揃えた日本代表だが、かろうじて2点を奪取し、勝った。明らかな消化試合であるバーレーンを迎えてのアジアカップ予選の最終試合だが、東アジア選手権後、‘岡田監督解任’の世論を押さえるためにも岡田監督にとっては、結果を求められる試合となった。

試合前に選手たちに「言い訳なしで結果を出せ」と檄を飛ばし、ピッチには欧州組を揃えた岡田監督。ワントップを岡崎、中盤は中村、本田、松井、セントラルミッドフィルダーに長谷部と遠藤の4−2−3−1の布陣で戦った。

この布陣なら、圧勝であろうというようなもののはずだが、なかなか点が取れない。迎えた36分。中村と松井で左サイドを崩し、最後は岡崎が豪快にダイビングヘッドで決めて先制点を奪う。

後半に入ってからも変わらず日本ペースだが、なかなか得点を奪えない。雰囲気をかえるため、67分に松井に変えて森本を投入するが、森本のイメージ通りのボールが来ずどこかチグハグ。このまま試合終了かと思われた92分。内田が上げたクロスに森本がニアでつぶれ、最後は本田が押し込み勝利を決定づけた。

2−0という勝利に日本代表関係者はホッと胸を撫で下ろしているだろうが、手放しで喜べるものではない。今日の勝利のポイントとなったのは「選手の質の違いの差」(バーレーン代表ミラン・マチャラ監督)だというのを忘れてはいけない。W杯で戦うのは格上の相手だ。それに勝つための岡田監督のコンセプトが“接近・連続・展開”だったのだろうが、「東アジア選手権では中に中にいってしまっていたので、俊さん(中村)と松井がワイドに開いた」と長谷部と松井が教えてくれたように、中より外を意識し、そこの個々の勝負が明暗をわけた。

また、岡田監督は森本を先発で使わなかった理由を「コンディションもあるし“計算できる”岡崎を使った」と説明したように、森本がどのようにフィットするかも未知数である。さらには、東アジア選手権のチームを否定する発言をし、選手層の厚さを拡大することには成功しなかったことを自ら認めるような結果にもなった。

W杯まであと100日。勝つには勝ったが、いまだチームの顔すら見えない、疑問だらけの試合だった。(了)


文/石井紘人(いしい はやと)
某大手ホテルに就職するもサッカーが忘れられず退社し、審判・コーチの資格を取得。現場の視点で書き、Jリーグの「楽しさ」を伝えていくことを信条とする。週刊サッカーダイジェスト、Football Weeklyなどに寄稿している。