燃費70キロ、重量380キロ:独VW社の独創的なハイブリッド

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Chuck Squatriglia

ドイツのVolkswagen(VW)社が、自動車の定義を変えようとしている。『L1』は弾丸のような形をしたディーゼルエンジンのハイブリッド車で、重量は400キログラム以下、燃費はなんとリッター70キロメートルを超える。早ければ4年以内に製品化される見込みだ。

L1のアイディアは、2002年から温められてきた。当時の取締役会長Ferdinand Pietch博士が、マイクロカー『1-Liter』でドイツのヴォルフスブルクからハンブルクまで走ったことがきっかけだ。1-Literという名前は、100キロメートル走行するのに燃料を1リットルしか使わなかった事実に由来する。1-Literは炭素繊維とマグネシウムで作られ、まさに最先端技術の結晶だったが、あまりにコストが高かったため、現実的でないと考えられていた。

その後2008年に1-Literが再び登場(日本語版過去記事)し、『Britain’s Car』誌は、VW社がプロジェクトにゴーサインを出したと報じた。今回発表されたL1はさらに洗練されている。エンジンは2気筒のターボディーゼルで、排気量はわずか800cc。10キロワットの電気モーターを併用し、7速のデュアル・クラッチ・トランスミッション(DSG)を搭載する。

電気モーターは優れたトルクを発揮する。VW社によると、L1のモーターは走りを重視したモードでは最大40%パワーアップするという[リリースによると、最高速度は160キロメートル]。モーターのみで走ることも可能だが、VW社はその場合の走行距離を明らかにしていない。回生ブレーキでリチウムイオン電池を充電する仕組みだが、電池の仕様も不明だ。

アイドリングストップ技術も燃費の向上に貢献している。燃料タンクの容量は6.5リットル足らずだが、VW社によると、1.38リットルで100キロメートル走ることができるという。燃費に換算すると、リッター72.44キロメートルだ。また、1キロメートルの走行で排出する二酸化炭素はわずか36グラムだという。ちなみに、トヨタ自動車の2010年式『プリウス』は89グラムだ。

L1はさらに、0.195という驚異的な抗力係数を誇るという。これまでに製品化された車で最高の空力特性を誇った米General Motors(GM)社の『EV1』に匹敵する。ただし、初代の1-Literにはわずかに及ばない。

炭素繊維のモノコックと外装は、フォーミュラ1(F1)や宇宙航空の技術を採用しており、380キログラムという超軽量が実現した。車体のみの重量はわずか124キログラムだ。

L1は安全性も完ぺきだと、VW社は胸を張る。運転手と同乗者は炭素繊維でできた安全な空間に座り、頭部とサイドカーテン式のエアバッグが守ってくれる。車体の前部は衝突時の安全を考慮したアルミニウム構造となっている。


WIRED NEWS 原文(English)

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