今回の【どっちが勝ち組でショー】は、何もいえねぇ金メダル男”北島康介 VS“旅人”中田英寿。今を遡ること4年程前、猫も杓子も腕に着けていた「ほっとけない世界のまずしさキャンペーン」のホワイトバンド(1個300円)をこれ見よがしに広告していた二人。しかし大騒ぎしたわりには訴えてるだけで大した募金にもなっていなかった「赤っ恥」キャンペーンになってしまった。大量のバンドがごみ箱へ消えた今、罪つくりな二人の“CM効果度”と“生き様”の違いを問う。

旅から帰って「すぽると!」(フジテレビ系)の月曜レギュラーや、ナインティナインとの共演(テレビ朝日系)が注目の中田英寿(なかた ひでとし、1977年1月22日 生まれ 山梨県出身)。彼はホワイトバンド騒動と、朝青龍の一件で、もはやスポーツ界でもダークな存在に変わってしまった。ご本人は真剣に環境や世界平和について貢献したいと思っているのかもしれないが、彼の企画する慈善試合や海外訪問などの活動は、どれをとっても広告収入の大きいマスコミから「計画的な美談」として扱われ、世間的には少々胡散臭いものに見えてしまう。ソンな中田ヒデである。
そもそも、中田がここまでのサッカー選手や実業家に這い上がった原動力は、「地味な顔」や「地方出身」というコンプレックスの表れ。そしてとにかく“目立とう”とする活動方針は、「サッカー」という競技の後遺症でもある。中田はワールドカップフランス大会で髪の毛をオレンジ色に染め、世界中に自分をアピールした。
大勢で行うサッカーは、試合に出るにもアピールが全て。いくらプレーに備えて練習していても、監督に才能を見出してもらわないとレギュラーになれない。無口で、目立たない顔の中田は他の選手に埋もれやすく、他の選手よりも強烈なアピールを要した。
そしてアピールが通じて「他人には真似できないプレースタイル」に注目が集まり、有名になった中田は、神田うのなどが主宰する芸能人や財界人の集まりに顔を出すようになった。しかしそこでも彼は“地味さ”が災いして女性にモテなかったという。彼はこの点(モテ?)においても語学やファッションなど、相当な血のにじむような努力をしたに違いない。
そこに、目を付けたのがホワイト・バンドを仕掛けたSというPR会社である。S社はお菓子メーカーのアドバイザーとして中田を起用し、パッケージデザインを可愛く変えるなど斬新なアイデアを出させ、見事商品をヒットさせた。ここまでは良かったが、その後S社と中田は、株主うんぬんやら他のスポーツ選手引き抜きやら、ホワイトバンドやらと、「スポーツ+福祉+金」という今までに無い商売スタイルを発展させていった。中田とS社の利害関係は一致し、彼は一気に“セレブ”の階段を駆け上がっていった。
その結果中田は、「ながーいマフラー」などの庶民が理解できない一風変わったオシャレと、儲けすぎてやることが無くなった「外国の財閥みたいな社会福祉」がトレードマークの“不思議セレブ”に急になってしまったようである。言動も宇宙的な中田には“身の丈にあった段階”が無い。
その点、同じS社の広告塔である競泳選手の北島康介(きたじま こうすけ、1982年9月22日生まれ – 東京都出身)の場合はどうだろう。
同じホワイトバンドの宣伝を買って出た北島は、ホワイトバンドの真相が騒がれた後も嫌われるどころか、CMに次々登場し北京オリンピックでは金メダルも獲得。今年に入ってもCM人気は絶好調だ。
その極めつけCMが「前評判はウソだらけだった」巨大ハンバーガーのCMである。同ファーストフードが協賛している一大スポーツイベントWBCの数ヶ月前に突然登場した肉厚バーガーのCMに「ジンクスは信じない」など、強気なセリフを吐く北島。(実際は競技前は震えるほど怖いそうだが。)スポーツ選手が食べるには脂っこいバーガーのCMだが、実家の肉屋のメンチも油ギトギトだからその辺もOK。そして、どんだけビックマウス(大口)をたたこうと、微笑ましく受け取られてしまうキャラ。そこが、北島の強みだ。