高カロリーの「麺類」でも、カロリーを気にせずお腹いっぱい食べられる方法がある!?(写真: セーラム /PIXTA)

これまで男女2000人以上にダイエット指導をし、落とした脂肪の合計は10トン以上にのぼるダイエット・アドバイザーの岸村康代氏。「健康的なダイエット」を追求し、テレビ番組「林先生が驚く初耳学!」でもお馴染みの岸村氏が、「岸村式ダイエット」の全ノウハウを1冊にまとめた新刊『落とした脂肪は合計10トン! 伝説のダイエット・アドバイザーが教える最強のやせ方』を上梓した。その岸村氏に、「太らない麺類の食べ方」を解説してもらう。

「我慢や無理をするダイエット」は続かない

私は、これまで2000人以上にダイエット指導を行い、「大人のダイエット研究所」の代表としても「健康的なダイエット」のサポートに取り組んでいます。いままでの指導の間に落としてきた脂肪の合計重量は、じつに「10トン=1万キロ」以上


しかし、管理栄養士でダイエットアドバイザーでもある私ですが、じつは私自身が何度もダイエットに失敗し、「ダイエットが続かない人」の典型例でした。

いままでの人生でどれだけのダイエットに取り組み、失敗してきたかわかりません。がんばってダイエットしたものの、リバウンドでかえって太ってしまい、「また失敗した……」と落ち込むという「ダメな人」の見本でした。

私自身が、10年以上、失敗を繰り返してわかった真実は、「我慢や無理をするダイエットは、絶対に続かない」ということ。

そこで栄養学について根本から学び直し、自分の体を実験台として、さまざまな方法を試み、ようやく我慢や無理をしなくても「自然にやせる」、そんな方法を発見しました。それが「岸村式ダイエット」です。

この「岸村式ダイエット」を実践した人の中には、「いままで試したどのダイエットよりもラクで楽しくできた」と話してくれる人が大勢います。

ここでは、「岸村式ダイエット」の中から、「やせる麺類の食べ方」の4つのコツを紹介したいと思います。

まずは、ランチの定番メニューのひとつ「ラーメンの食べ方」について紹介します。

ラーメンは「具だくさん」、パスタは「トマトベース」

【1】ラーメンは「具だくさん」で食べる

ラーメンは、いわずと知れた高カロリー食。やめたほうがいいのはわかっているけれど、どうしても食べたい……。そんなとき、食べるなら具もないラーメンのほうがカロリーも少なくてダメージは小さい気がしませんか?

でも、じつはラーメンの「具材が多いほう」が、ダイエット的にはいいのです。麺類など精製された糖質を多く摂ることは、食後血糖値の上昇をおこします。その結果、体内に糖を取り込み脂肪としての蓄積を促す「インスリン」が過剰に分泌され、体へのダメージも招くことになってしまいます。

このようなことを防ぐためには、食前に血糖値の上昇を抑える食物繊維やたんぱく質を摂ることが効果的です。それにより「インスリン」の分泌が抑制されることがたくさんの試験でわかっています。

また、具材に含まれるビタミンがラーメンに含まれる糖質や脂質の代謝を助けたり、食物繊維が腸内環境の改善を助けたりします。さらに、たんぱく質が腹持ちをよくしてくれ、脂肪燃焼に必要な筋肉の減少も防げるのです。

ダイエットにとって大切なのは食べる「量」よりも「バランス」。食べたものをきちんとエネルギーにするには、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が必要なのです。

ラーメンの具材によくあるメンマやわかめには「食物繊維」、卵には「たんぱく質」、長ねぎには「ビタミンB1」の吸収を助ける香り成分の「アリシン」など、体に必要な栄養素が含まれています。

また、とんこつよりも醤油ベースのほうが多くの場合、低カロリーなので、迷ったら醤油ベースを選ぶことをおすすめします。

つまり、麺ばかりのラーメンよりも、具材が山盛りになった「全部載せ」のほうが結果的に「太りにくい食べ方」になるのです。

さらに、麺ばかりのラーメンだと、ついつい麺を食べすぎてしまったり、満足しきれずに逆にドカ食いしてしまったりすることにもつながるので、ぜひ「具だくさん」のものを選んでみてください。

次は、女性にも人気のある「パスタの食べ方」について紹介します。

パスタは「単品にしない」「トマトベース」がポイント

【2】パスタは「トマトベース」を選ぶ

パスタも、ラーメンと同様にカロリーが気になる食べ物。しかし、パスタも食べ方を工夫すれば「やせる食べ方」にすることができます。

ポイントは、パスタソースの選び方です。カルボナーラのような、こってりしたクリーム系のソースよりも、「トマトベース系」のソースを選ぶことをおすすめします。

トマトには、余分な塩分を排泄してくれる「カリウム」や体に必要な「食物繊維」のほか、「ビタミンC」や「リコピン」という抗酸化作用も含まれています。

前述のとおり、糖質は単体で摂るよりも野菜やたんぱく質と摂るほうがよく、余分な塩分を排泄してくれることで、むくみの予防にもつながります。疲労回復効果や美肌効果も期待もできるので、女性には特におすすめです。

また、パスタはラーメンと同じように単品で食べることも多いので、麺ばかりにならないように選ぶことも大きなポイント。具材はできるだけたくさん入ったものを選ぶようにしましょう。

【3】「パスタ単品」ではなく、もう一品追加する

パスタを食べるとき、もうひとつの工夫できるポイントは、単品ではなくサラダなどを一緒に食べることです。そして、サラダは必ずパスタを食べる前に食べるようにしましょう

サラダを食べるのは、ラーメンと同様に麺だけの糖質に偏らないように、栄養バランスをとるためです。また麺を食べる前に野菜をお腹に入れておくと、野菜に含まれる食物繊維の働きによりお腹の中が「かさ上げ」されて、麺が少量でも満足し、食べすぎを防ぐことができます。

サラダもいろいろありますが、生野菜のサラダや旬の野菜のグリルなどが追加できればベストです。

ほかには「魚介類のサラダ」もおすすめ。魚から良質な「たんぱく質」を摂ることができます。イカやタコなどは「高たんぱく低脂肪」なほか、サーモンなどに含まれる脂質は「オメガ3系」の脂質で、他の脂質に比べると動脈硬化や体脂肪になりにくいことも研究されています。

最後は、自宅でもできる「やせる麺類の食べ方」を紹介します。

【4】おうちパスタは「かさ増し法」で食べる

自宅で麺類を食べる場合は、ちょっとしたひと工夫で「やせる食べ方」にすることができます。それは、「麺の量を減らして、ほかの食べ物に置き換える」という方法です。ほかの食材でかさ増しすることで、麺の量を減らしてもボリューム満点で、満足しやすいのです。

おすすめは「えのきだけ」。えのきだけは「食物繊維」のほか、糖質や脂質の代謝にも欠かせない「ビタミンB群」が豊富です。パスタの量を減らし、その分「えのきだけ」でかさ増しをするのです。

味が変わってしまうと思われるかもしれませんが、「えのきだけ」はパスタ料理でもよく使われている食材なので、たくさん入れても違和感なくおいしく食べられます。特に「フィデリーニ」という少しだけ細めのパスタにすると、えのきとの食感がほとんどわからなくなり、麺の量を減らしていることを感じさせない一品になります。

ラーメンの場合は、「もやし」や「千切りキャベツ」などをかさ増しに使うのもおすすめです。

私がプロデュースしたレストランの期間限定メニューで、えのきだけでかさ増ししたパスタがあったのですが、これが男性にも驚くほど好評でした。ぜひ、みなさんも試してみてください。

無理なく続けられるからこそ「最強のやせ方」

食べることが大好きなのに、ダイエット中は「我慢の連続」で、食事自体が苦痛になってしまっている人も少なくないでしょう。

そんな方に、私はいつも「ダイエット中でも、食事は楽しんでいいのです!」とお伝えしています。「食べないダイエット」「我慢ばかりのダイエット」は、反動で「ドカ食い」を招きやすく、リバウンド、失敗のもとだからです。

その代わり、食べ方にちょっとした工夫をしてみましょう。「食べ方」さえ工夫すれば無理なくやせることができ、体も喜びます。その結果、「ストレスなく、楽しくやせる」ことができ、その喜びは結果的に「自信」に変わっていきます。

世の中には糖質制限や単品ダイエットやハードに運動するダイエットなどもありますが、単に糖質を抑えるだけの糖質制限や単品ダイエットでは結果的に体調を崩してしまうことにつながります。また、ハードな運動や方法は結果的にリバウンドにつながるケースが多いのも事実です。

無理なく続けられるダイエットこそ「最強のやせ方」だと私は思っています。ぜひみなさんも、「やせる麺類の食べ方」を参考に、無理なく、楽しく続けられる「最強のやせ方」を体験してみてください。

(医学監修:池谷敏郎[医学博士])