歴史を見ると日本人は大挙して中国に押し寄せているのに、どうして日系という少数民族は存在しないのだろうか?(イメージ写真提供:123RF)

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 中国には55の少数民族がいるとされている。もっとも、少数民族すべて合わせても、中国の人口の1割にも満たない。残りの90%以上は漢民族が占めている。少数民族のなかには、国外から移住してきた民族もいて、朝鮮・韓国系は朝鮮族、ベトナム系をジン族、ロシア系はオロス族といったように少数民族として数えられているが、日本人の中国残留孤児などの日系人は、少数民族としては扱われていない。

 中国メディアの快資訊は19日、歴史を見ると日本人は「大挙して中国に押し寄せている」のに、どうして日系という少数民族は存在しないのかについて分析する記事を掲載した。

 記事は、ロシアやタイに起源を持つ中国の少数民族について、圧政から逃れてきた人たちが中国に土着したものだと紹介した。朝鮮族に関しては特殊で、日本が朝鮮半島及び満州を統治・支配する過程において多くの半島民が中国へ移住したため「自主的ではない」と指摘したが、朝鮮族の移住の始まりは明末から清初(16世紀末期―17世紀初期)にまでさかのぼるようだ。

 このように、歴史を振り返ると中国の一部の少数民族は国外に起源を持つことが分かる。では、なぜ日本人を起源に持つ少数民族はないのだろうか。多くの日本人はかつて満州と呼ばれた中国東北地方で定住するはずだったが、日本の敗戦によってほとんどの日本人が帰還し、残った日本人はわずかだったからだと分析した。実際には残留孤児等もいたわけだが、戦争ゆえに中国が少数民族として認めることはまずありえないことだったという。

 同様のことは、香港・マカオの返還にともない中国国民となった英国系やポルトガル系についても言える。中国の少数民族は実際には55だけでなく、便宜上漢民族と表記しているだけでさらに多くの少数民族がいると言われる。日系は含まれていないにしても、多様性という面では、中国は特異な国ということができるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)