日本の人手不足は今後も深刻化する一方と言われており、政府は外国人労働者の受入れを拡大する措置をとる方針を明らかにするなど、ようやく対応に本腰を入れ始めました。そんな中、いま問題となっているのが「難民ビザ」。難民審査制度の裏をついたこの手法、どのような手口なのでしょうか。無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』で詳しく紹介しています。

難民ビザ

厚労省による2018年4月の有効求人倍率は1.59倍、DODAによる2018年5月の転職求人倍率は2.40倍、最近は、人手不足による倒産、採用担当者は過労で倒れる、なんてことが起こっているらしい。

新米 「それはそうと、最近の求人難はひどいですね〜」

大塚 「求人倍率、1.5倍超えてるもんね。ホント、超人手不足時代!」

E子 「人手不足は、昨年で120万人。2030年には、労働力人口が300万人が減るって試算されているそうよ」

深田GL 「U社さん、外国人の方を雇用することになったよ」

大塚 「そうなんですね。在留資格は何ですか?」

深田GL 「技術・人文知識・国際業務だそうだ」

大塚 「就労ビザってなかなか取得しづらくって、たいへんですよね〜」

深田GL 「日本で正式に労働者として認められる外国人は、

永住ビザ学識経験者、医師などの専門的知識や技術を持つ高度人材などの就労ビザ一定期間学ぶ事を目的に許可されている技能実習生、コンビニや居酒屋でアルバイトできる留学生

だね」

新米 「でも、留学生は働く時間に制約があるますよね」

E子 「ねぇ、『難民ビザ』って聞いたことある?」

新米 「『難民ビザ』? 何ですか、それ?」

深田GL 「難民申請って普通は難しいだろ」

新米 「現実的じゃないような…」

E子 「いや〜、それがね、難民申請すると、在留カードがもらえるそうなんよ。どうも『難民ビザ』とっていう誤った通称で呼ばれているらしいわ」

深田GL 「えぇ〜!? 日本って難民認定、めちゃくちゃ難しくて、ほとんどできないんじゃないの?」

E子 「そう、正式には、難民とは違う、『自称難民』だそうよ」

深田GL 「『自称難民』? なんだ、それ?」

E子 「観光客として入国した東南アジア系の人が多いんだって。つまり、観光ビザで日本に入国して、まず向かうのは、入国管理局 難民調査部門 難民申請の窓口。すぐに難民申請をするそうよ」

大塚 「観光ビザではいった人が?」

E子 「そう。観光ビザで入って、難民申請したら、約半年後に在留カードがもらえるらしいわ。『就労制限の有無 指定書により指定された就労活動のみ可』って書かれているらしい」

新米 「どういうことですか?」

E子 「難民申請の審査の結果が出るまでは時間がかかるので、その待っている期間、生活するために日本で働くことが認められるんだって」

深田GL 「え? そうなの?」

E子 「そして、仮に難民と認められなくても再申請し、また申請。つまり、延長し続けると、平均で約2年半働き続けることができるらしいの」

新米 「そんなやり方があるんですか? 隙間を縫って、考えるなぁ〜」

E子 「紛争や暴力のまん延によって迫害の恐れがあり、国を逃れた人々っていうのが本来の難民の定義。シリアなどの国がそうね。だけど、この『難民ビザ』っていうのは、政治難民とは考えられない理由で申請した人達が取得するから、本来の難民はほとんどいない。」

大塚 「へぇ〜、そんなことができるんですか、知らなかった!」

E子 「平成29年は、フィリピン、ベトナム、スリランカ、インドネシア、ネパール、トルコの順に多かったようね」

新米 「ふーん」

E子 「紛争や暴力のまん延によって迫害の恐れがあり、国を逃れたっていうのが本来の難民の定義。だけど、平成29年の統計だと

借金返済のため日本で働きたい友人とのいさかいにより友人に殺害される妻のいる男性と交際し、地域住民から暴行や脅迫

っていうのがNo.3」

深田GL 「お金を稼ぐのが一番の目的ってことだな。たとえば、製造業の期間工で、時給1,250円なら残業も少しして月30万円にも手が届く」

E子 「ベトナムを中心に東南アジアの人達の間でSNSで広がっているそうよ。日本で働くと、ベトナムの10倍の収入が得られるって」

新米 「10倍も! それは、日本で働きたいはずですよね」

大塚 「留学生だと、週28時間しか働けない。フルタイムはできないから、アルバイトって感じですものね。そりゃ、フルタイムで働きたいですよ」

深田GL 「技能実習生は、技術を学ぶ目的で最長で5年間、通常は帰国しないといけない。他に条件の良いところがあっても、働く場所を変えることはできない」

大塚 「技能実習生は、日本に来て自分の国で働くよりはたくさん稼げている。でも、せっかく日本に来ているのに、他で働いたらホントはもっと稼げるって知ってしまうわけですね」

新米 「実習生中は給与が安いですもんね〜」

大塚 「ほぼ最低賃金ですものね」

深田GL 「いや、実際は、最低賃金割れも多い」

新米 「だから、難民申請する人も増えているってことですか」

E子 「難民申請して、実際に認定される人は年間20人くらいで推移しているそうだけど、申請そのものは、6年前と比べると10倍、2万人近くなんだって」

新米 「すごい増えているんですね。自分の国で働く場所がないのかなぁ…」

E子 「難民ビザを取得する人が増えることによる課題は、

治安悪化の不安日本人から仕事を奪う言葉の問題

って言われているわ」

深田GL 「しかし、農業、伝統工芸品の現場を担っているのは外国人で、彼らが日本の文化を継承しているとも言われているなぁ…」

E子 「そうなのよ。日本人が日本の文化を継承せずに外国人の人たちに助けられている事実がある」

大塚 「なんか複雑ですよね。今の日本…」

E子 「ところが、入国管理局では今年(2018年)1月から難民認定制度の運用を見直し、申請から2ヵ月以内に簡単な審査を行い、明らかに難民ではないと思われるケースでは、就労も滞在も認めないことにしたそうよ」

深田GL 「そりゃ、見直しもしないとなー」

E子 「難民の可能性が高い場合だけ、速やかに就労を許可するとして、この見直しの結果、今年1月〜3月までの難民申請の件数は、前の年の同じ時期と比べて13%減っています、って」

深田GL 「その一方で国は、人手不足を解消するために、外国人労働者の受け入れを拡大する方向で、今年の『骨太の方針』の原案で、業種を限定し、新たな在留資格を創設するんだろ。この資格の付与については、技能や日本語の試験を課すけれど、技能実習制度の修了者は試験を免除。事実上、実習生が在留期間を延長できることになるそうだ」

E子 「長く日本にいてもらう人をつくっていく方針だそうよ」

新米 「確かに、短期間で人が入れ替わるより、長く働く人こそソーシャルコストを下げる結果に結びつきますよね」

難民認定申請、過去最多の1.9万人(日本経済新聞から 2018/3/23)

法務省は23日、2017年の難民認定申請者数の確定値を発表した。申請者数は1万9,629人で前年比8割増え、1982年の統計開始以来、過去最多となった。在留資格別では、技能実習が2.7倍の3,037人、観光などを目的として入国した短期滞在が約2倍と急増した。一方、難民と認定されたのは8人減の20人にとどまった。

 

国籍別では、フィリピンが前年の3.5倍と大幅に増え、全体の4分の1を占めた。ベトナムやスリランカも増加した。大量の難民や避難民を生じる事情のない国々からの申請が目立つ。急増の背景には、申請から6ヵ月経てば一律に就労を認める10年の難民認定制度の改正があるとみられる。

 

技能実習で入国した外国人が給料未払いや契約にない労働などの問題を抱え、途中で逃れて難民申請をするケースも増えているという。短期滞在で入国した人が、就労目的で申請をするケースも多い。

 

法務省は審査に支障が生じないよう、1月から制度を厳格化。初回の申請者でも難民条約上認められている理由に当たらなければ、在留期限後に強制退去手続きを取り、入管施設に収容する方針に変更した。

 

認定者の国籍はエジプト、シリア、アフガニスタンなどだった。ほかに人道上の配慮から、シリアやミャンマーなどから計45人の在留を認めた。

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