先月26日に行われたアートスペース「鷲嶺食肆」の開幕式典の様子=台南市政府提供

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(台北 1日 中央社)日本統治時代の高級料亭として知られた「鶯料理」の表棟が南部・台南市で復元され、軽食もとれるアートスペース「鷲嶺食肆」として先月26日にオープンした。同日開かれた開幕式典には、同市の張政源副市長や同市台日友好交流協会の郭貞慧理事長などが出席し、往時の栄華がよみがえることに期待を寄せた。

鶯料理は1923(大正12)年、神戸出身の実業家、天野久吉が創業。当時は各界の名士が集う社交場としてにぎわい、皇太子時代の昭和天皇が台湾行啓で台南を訪れた際に料理を提供したとされる。

表棟、中棟、裏棟の3棟からなる建物は戦後、台風などで荒廃。市は2012年に修復に着手し、2013年、中棟と裏棟の一般公開を開始した。2015年には、寺廟以外の建物で、記念する価値を持つ文化財「記念性之建築」に同市で初めて指定。台風で全壊した表棟を復元する工事が2017年から進められ、今年初めに竣工した。市は活性化を目指し、民間の業者に運営を委託している。

張副市長は、台南は文化が豊かで、古跡や歴史建築が多くあると紹介。市は近年、これらの建物の修復に努めてきたとした上で、持続可能な経営や活性化が重要だと述べた。

式典には天野の孫、朝夫さんも日本から駆け付けた。朝夫さんは、近年は毎年、台南に長期滞在しているといい、同市の人々のもてなしに感銘を受けていると語った。

(編集:楊千慧)