スピードスケート女子500メートルで銀メダルを獲得したイ・サンファ【写真:Getty Images】

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勝利が宿命の五輪女王が今季、感じていたもの…「銀メダルで始まって銀メダルで終わった」

 平昌五輪スピードスケート女子500メートルで小平奈緒(相沢病院)に次ぎ、銀メダルを獲得したイ・サンファ(韓国)。母国で3連覇の偉業を逃して号泣し、小平に慰められ、抱擁したシーンは話題を呼んだ。その裏には今シーズン、女王として並々ならぬプレッシャーがあったという。2位続きだったことを受け、「(試合で)銀メダルを獲ったら罪人になった気分だった」と語ったことを地元紙「スポーツソウル」が伝えている。

 銀メダルから一夜明け、イ・サンファは取材に応じた。記事によると、死力を尽くした銀メダルに対し、インターネット上で大きな感動をもらったと反響を呼んでいることについて質問を受け、“氷速女帝”は「昨年から銀メダルで始まって銀メダルで終わった。銀メダルを獲ったら罪人になった気分がした」と打ち明けたという。

 2連覇を果たし、常に勝つことを求められた五輪女王だったが、今季は11月のワールドカップ(W杯)初戦で小平の後塵を拝し、以降も日本の女王の背中を追いかける展開が続いた。母国の大きな期待を受け、戦い続ける重圧があったのだろう。2位であることを“罪”のように感じる日々を過ごしたが、友人、ファンの存在が支えになったという。

「この一言にオリンピック3大会連続メダリストの人生がにじみ出た」

 記事でも「この一言にオリンピック3大会連続メダリストの人生がにじみ出た」と伝えている。ただ、重圧から涙がこぼれると、小平が慰めてくれた。常にライバルとして見られ続けたことについては「私も奈緒もオリンピックに向けて前進していた。話をする時間もなく、二人とも敏感だった。話をするのが微妙だった」と振り返ったという。

 その後に生まれた“涙の抱擁”は「それぞれ時間があったが、全てが終わったのでお祝いのやりとりをしたのだと思う」と語ったという。そして、記事では「アラームを7個くらい合わせていたので、全て消して起きたい時間に起きて、食べたいときに全部食べて、全ての荷を下ろして休みたい。アラームは昨日から消した」と笑って話したことを伝えている。

 22年北京五輪挑戦については「まだはっきりとは答えられない。競技が昨日、終わった。またお話します」と即答は避けたという。しかし、世界の檜舞台で再び、小平と繰り広げる熱戦を見たいファンも多いことだろう。一つの“十字架”を下ろしたイ・サンファが歩む道に注目が集まっている。(THE ANSWER編集部)