「恋バナと合コンが大好きで、気づいたら“フリーランスの仲人”になっていました」

悶々としながら過ごした10年間の会社員生活、アラサーで突然決意した海外留学を経て、フリーランスの仲人として活躍することになった尾崎恵美(おざき・めぐみ)さん。

29歳で会社を辞めた尾崎さんは、韓国と上海で1年ずつ過ごし、日本に帰国。その後は、ネットラジオの運営をしながらフリーの仲人として踏み出します。そのきっかけは「趣味でやっていた合コン企画」と「恋愛相談」。第2回は、「好き」を仕事にしていった経緯について聞きました。

夜通し聞いてしまうほど恋バナが好き

“フリーランスの仲人”という一風変わった活動を仕事にしている尾崎さん。そのルーツは学生時代にまで遡ります。

「昔から男女問わず、恋愛相談を持ちかけられることが多かったんです。別に、恋愛経験が豊富なわけでも、恋愛の達人でもなんでもないのですが(笑)、単に話しやすいのでしょうね。頼りにされると“期待に応えなきゃ”と張り切ってしまう性分なので、夜通し話を聞いたり、おせっかいを焼いたりしていました」

人付き合いのよさから合コンのセッティングを頼まれることも多く、幹事を引き受けては場を盛り上げていたといいます。

「みんながワイワイ楽しそうにしているのを見るのが大好き。なんだか幸せな気分になるんです。紹介した人たちが仲よくなって友達の輪が広がっていくのも楽しい。結婚したカップルもたくさんいましたね」

こんなことが仕事になるの!?

社会人になってからも、定期的に合コンを企画していたという尾崎さん。そんな半ばライフワークのような趣味が「仕事になるかも……」と気づいたのは、34歳の頃。

「男女40人という大規模な焼肉パーティーを開いた時に、そこで知り合った男性が、私と同じようなことを副業にしていると知りました。“えっ、こんなことが仕事になるの?”と目からウロコ。帰国後に立ち上げていたネットラジオ局の人脈作りや宣伝にもなるのではという思いもあり、私もやってみよう!と思い立ったんです」

仕事にするからには、これまでのように“単なる合コン”ではダメだと、やり方を試行錯誤。場を盛り上げるためにゲームを考えたり、席替えをしたり、会話の弾まない男女の間をつないだりと、工夫を凝らしていきました。

2014年からは婚活パーティーも開催し、結婚相談所ともコラボ。徐々に活動の幅を広げていた尾崎さんでしたが、好きなことを仕事にする難しさに直面し、ジレンマを感じるようになります。

「婚活ビジネスとして成果を追求すると、どうしてもカップルをたくさん作って結婚にもっていくことがゴールになってしまう。でも、もともと“人と人をつなぐ”ことが好きでやってきた仕事。自分が楽しめるレベルをキープしながら続けていくには、ゴールはそこじゃないなと思いました」

自分の役割は、縁をつなぐこと

自分の役割は、縁をつなぐこと――そんな思いをあらためて確認し、結婚相談所とのコラボを解消。2015年からは、「涙活」から発生した「涙婚」を活動拠点にしています。

「泣ける動画を見た後で、参加者同士が感動のツボを話すのですが、みんなの緊張を説いたり、会話のアシストをして仲よくなれるようにサポートするのが役目。 私の会話がきっかけになって、話が弾んでいるのを見た時は、心の中でガッツポーズ(笑)。

会社員時代は、人の役に立っているという実感が持てなかったけれど、今は喜んでもらえる様子がダイレクトに分かり、心が満たされます。結婚式に呼ばれたり、お礼の手紙をもらうこともあり、嬉しいですね」

根底にあるのは「人が好き」という気持ち――。

「大好きだったことを今も続けているという感じ。毎日、ワクワクしています」

第3回は仕事を一本に絞らない「好きなことを同時並行で続ける」ワークスタイルについて聞いていきます。

写真:青木勇太

西尾 英子