2009年の第2回WBCに出場した林昌勇【写真:Getty Images】

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WBC韓国代表の最年長・林昌勇、09年決勝の「後悔を振り払う」

 3月に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で悲願の初優勝を目指す韓国代表。第1回大会はベスト4、第2回大会は準優勝と存在感を見せていたが、第3回大会はまさかの1次ラウンド敗退に終わった。今大会も強力なメジャーリーガーを揃えたオランダ、台湾、イスラエルと同じ厳しい組に入り、仮に突破しても2次ラウンドでは日本やキューバと対戦することが濃厚。世界一への道は非常に険しい。

 そんな中、精神的支柱としてチームを牽引する役割を期待されているのが、元ヤクルトの林昌勇投手だ。サイドハンドから投げ込む最速160キロの直球を武器に、ヤクルトでは3度の30セーブ以上を記録するなど5シーズンでNPB通算128セーブを挙げた右腕は、韓国代表最年長の40歳となった。韓国紙「中央日報」の英字新聞「Korea Joongang Daily」は「最年長プレーヤーは最後の仕事で輝く」とのタイトルで特集記事を掲載。韓国人右腕は、2009年決勝でイチローに決勝打を浴びたことをWBCでの唯一の「後悔」と振り返っている。

「起亜タイガースのイム・チャンヨン(40)にとって、2017年のワールド・ベースボール・クラシックは投手としてプレーする最後のWBCとなるかもしれない」

 記事では、今大会が林昌勇にとって最後の大会になることを示唆しつつ、本人が「チームでの自分の役割は補佐役。今回は他の投手が良い技術と能力を持っているのでプレッシャーが少ないです」と話していることを紹介。メンバーをサポートする覚悟を示しているという。

WBCには「良い思い出がたくさんあるが…」

 林昌勇の40歳という年齢は、今回の代表で“断トツ”。2013年の第3回大会に39歳で出場した陳甲龍(チン・ガビョン)の最年長記録も上回るという。今回のチームでは「次に年長となる金泰均(ハンファ、元ロッテ)、ロッテ・ジャイアンツの李大浩(元オリックス、ソフトバンク)、チーム唯一のメジャーリーガーの呉昇桓(カージナルス、元阪神)とは6歳離れている」。さらに、チーム最年少の選手とは22歳差だというが、同紙は「彼は他の選手と同じ量のトレーニングをこなし、若き投手たちに追いつこうとベストを尽くしている」と、その姿勢を絶賛。本人も「年齢は単なる数字です」と取材に対して答えている。

 WBCには2009年の第2回大会しか出場していない林昌勇だが、多くのファンが思い出すのは、決勝戦の投球だろう。延長10回、一塁が空いていたにも関わらずイチローと勝負し、センター前への決勝2点適時打を浴びた。記事の中で、右腕はその時のことを「WBCには良い思い出がたくさんあるが、1つだけ後悔がある」と回顧。そして、「全ての後悔を振り払い、若い選手たちとのWBCで良いピッチングでチームを助けたい」と“リベンジ”を誓っている。

 最年長選手は、韓国代表を躍進へと導けるだろうか。