水恐怖症の13歳少年、勇気を振り絞って友人と水に飛び込むも溺死(出典:https://www.thesun.co.uk)

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体育の授業のプールがとにかく苦痛という「水恐怖症」。イギリスでそんな少年が友人とともに“勇気を振り絞って”水に入り、尊い命を落としてしまった。今年6月の事故について『thesun.co.uk』が伝えている。

クモ、閉所、高所、もうありとあらゆる「恐怖症」があるが、忘れてならないものに「水恐怖症」がある。海やプールを前に、水底は深く足がつかないことを想像すると恐怖で圧倒され足がすくむばかり。水族館も無理、悪天候の波の音なども苦痛だといい、どんなに「意気地なし」とからかわれても本人もなす術がない。克服したいという気持ちはあれど、やはり無理は禁物のようだ。

そんな水恐怖症に苦しんでいた英マンチェスターのフラヴィオ・ラファエル・ピサロ君(13)。今年6月5日夜、友人らと北のロッチデイル運河に繰り出し、はしご状のステップを利用して水に入った。ほどなくしてフラヴィオ君はパニックと化し、激しく腕を振りながら水の中に沈んでしまった。3人の仲間および付近の大人が助けようとしたが救急隊員が到着してフラヴィオ君を救出するまで20分ほどかかり、心肺停止の状態に陥ると搬送先の病院で9日後に死亡した。

10歳の時にポルトガルからやってきて「St Anne’s Academy」という学校に転入したフラヴィオ君は、「水恐怖症で泳げない」と公言していた。しかし楽しそうに水遊びをする友人らに触発され、「泳げるようになるためにも度胸をつけろ」と励まされると一緒に入水。その末の不幸な溺死であった。

予備審問の法廷で、母マリアさんは「フラヴィオは5人きょうだいの末っ子。サッカーとバスケットボールを愛するも泳ぐことだけは怖がり、一度も水泳を教わったことはありません。兄をはじめ私たちはフラヴィオ君に運河や川に近づかないようにと警告してきました」と述べ、肩を落とした。マリアさんは今、柵もなく危険を示す警告の標識も見当たらないその運河には安全対策に大きな問題があると強く訴えかけている。

恐怖に遭遇すると、ヒトの大脳辺縁系の一部である「扁桃体」が大きく反応して呼吸数、心拍数を増加させ、ストレスホルモンの放出に働きかけることがわかっている。わが子を「水恐怖症」にさせないためにも、幼い頃にトラウマになるほどの水に関わる恐怖の体験をさせない、ニュースやドラマ、映画などで子供が溺死するような恐怖のシーンを見せないようにするなど大人たちの心がけも重要であるという。

出典:https://www.thesun.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)