本日公開「何だよ、この設定。おもしれーなぁ」映画『暗殺教室』脚本家に聞く1
本日3月21日(土)、映画『暗殺教室』が全国公開される。Hey! Say! JUMPの山田涼介や菅田将暉といった若手注目俳優の演技、そして殺せんせーのCG描写などに注目が集まるが、肝心のストーリーはどうなのか? 「週刊少年ジャンプ」で連載中の原作漫画をもとに今回脚本を担当した金沢達也に、映画の見どころや原作漫画を映像化するにあたっての脚本家の役割や難しさを聞いた。
《漫画原作と脚本の関係性》
金沢 こちらから逆にお聞きしたいんですけど、試写をご覧になって、いかがでした?
─── 普段、漫画原作ものってあまり信じていないんです。原作のファンであればあるほど世界観が壊されることの懸念というか……。それは、原作ファンの多くが抱いていることでもあると思います。でもこの映画『暗殺教室』の場合、原作再現度が素晴らしいな、と。
金沢 おぉ!
─── 今日のインタビューではその点を特にお聞きしたいなと。原作ものを映像化する上で、脚本家の難しさややりがいはどこにあるんでしょうか?
金沢 たぶんいろんなパターンがあるとは思うんですけど、えーっと……どう答えれば波風が立たないのか(笑)。
─── 言いづらいかもしれないので聞き方を変えます。人気漫画の映画化の場合、映像化の権利を買った後、タイトルと設定は残しつつも中身全然違うじゃん! という作品も多いかと思います。
金沢 多いかはわからないですけど、そういうものもありますよね。場合によっては、企画を通すために原作が必要、ということもあるご時世ですので。
─── では、脚本家・金沢達也は映画『暗殺教室』を作るにあたって、原作とどう向き合ったんでしょうか?
金沢 原作ものに関わるとお話をいただいて、おし、じゃあ脚本家としてはこれをどう変えてやろうか……という考えも正直ありました。
─── やっぱり。
金沢 最初はそう考えるわけです。でも、原作漫画を読んで、「ちくしょう! 何だよ、この設定。おもしれーなぁ」と(笑)。
─── 脱帽しちゃった!
金沢 どう変えようかなぁー、と思いながら読んでるのに、読み進めるうちにどんどん引き込まれてしまって。なので、プロットを作るためにプロデューサーや羽住(英一郎)監督と打ち合わせをしたときも、かなり早い段階から「この世界観を完全に再現しよう!」ということで一致しました。それが決まってしまえば、あとはもう脚本を書くといっても理系的な作業でしたね。
─── 理系?
金沢 基本的には原作の順番通りに描いていかないとキャラクターに感情移入がしにくいんですけど、当然ながら原作のエピソード全てを映画で描くわけにはいかない。なので、原作エピソードのうち、どれを残してどういう順番に並べれば、世界観を残しつつ映画作品として完成できるのか。そういうパズル的な作業が一番の肝でした。
─── 引き算の脚本。
金沢 それができれば、あとはキャラクターに命を吹き込むべく、台詞を整えていく作業になるんですけど……残念なことに、台詞にしても原作が優れているから、基本的にはほぼそのまま使えてしまうという(笑)。まあ、エピソードは原作と同じでも、映像化するにあたってシーンを変えなきゃいけないことは多いので、その辺では頑張っております。
《CGと脚本の関係性》
─── この映画の特徴として、殺せんせーの描写をはじめとしてCGがふんだんに使われている点があると思います。CGシーンの場合、脚本にする上ではどういう想定をして書くんでしょうか?
金沢 その点に関しては、相手があの羽住監督なわけですから結構サボったというかお任せしたというか(笑)。もちろん、こういうイメージですかね? といったものは自分の中にも持っていました。でも、打ち合わせの段階から羽住監督のイメージをお聞きしていたこともあり、僕自身のイメージをこと細かに書いたりはしませんでしたね。
─── このインタビューだけだと、あんまり仕事をしてないんじゃないかと誤解を生みませんか?(笑)
金沢 脚本家としてこれだけは言っておきます。今回の映画『暗殺教室』、一番の見どころは、CGです!
─── ダメ押しした!
金沢 やっぱり、そこ(CG)にお金も時間もかかっていますから。しかも、いわゆるハリウッド的なCGとはまた違った、漫画世界を忠実に再現するためのCGというか3DCGというのか。これだけ漫画の世界観を壊さないCGというのはスゴイことだと思うんです。教室の中で変な生き物が動いている! あの感じはなかなか出せるものじゃないと思います。
《演者と脚本の関係性》
─── 先ほど、台詞もほとんど原作のままで、というお話がありました。演者に応じて何か変えたりとかもなかったんでしょうか?
金沢 そうですね。最初、漫画のキャラクターを元にアテ書きをしていて、途中で主演の山田(涼介)君をはじめキャストがどんどん決まっていったんですね。当初、演者によっては多少台詞を変える必要があるかもなぁ、とは思っていたんですが、配役を見て「あ、もうこのまま行ける!」と。キャスティングがまた絶妙ですよね。
─── 赤羽業(カルマ)なんかは、見た目の印象は原作とはちょっと違うんですけど、演技を見ていくと、あぁカルマだ、とすんなり入ってきました。
金沢 カルマは確かに印象がちょっと違うんですけど、映画ならではの、菅田将暉君ならではのカルマになっているというか。やっぱりノってる俳優は違うな、というのは感じましたね。山田君と菅田君の存在感は別格でした。
─── 最初、『暗殺教室』を実写映画化すると聞いて、じゃあ設定は中学から高校に変えるのかな? と思ったんです。でも、ふたを開けてみたら原作通り、椚ケ丘中学3年E組で。
金沢 あ、確かに最初は高校にすることも考えたかもしれません。その方が、役者陣は揃えやすいわけですから。
─── 山田涼介も菅田将暉もどちらも1993年生まれの今年22歳。それが中学生? 大丈夫か?っていうのは、観るほうとしてはやっぱり思うわけです。
金沢 でも、ちゃんと中学生に見えましたよね。そこはやっぱり、役者としての力であり、監督を始めスタッフの皆さんの力なのかなと思います。
(後編へ続く)
映画『暗殺教室』、3月21日(土・祝)から全国東宝系にてロードショー!!
(オグマナオト)
金沢 こちらから逆にお聞きしたいんですけど、試写をご覧になって、いかがでした?
─── 普段、漫画原作ものってあまり信じていないんです。原作のファンであればあるほど世界観が壊されることの懸念というか……。それは、原作ファンの多くが抱いていることでもあると思います。でもこの映画『暗殺教室』の場合、原作再現度が素晴らしいな、と。
金沢 おぉ!
─── 今日のインタビューではその点を特にお聞きしたいなと。原作ものを映像化する上で、脚本家の難しさややりがいはどこにあるんでしょうか?
金沢 たぶんいろんなパターンがあるとは思うんですけど、えーっと……どう答えれば波風が立たないのか(笑)。
─── 言いづらいかもしれないので聞き方を変えます。人気漫画の映画化の場合、映像化の権利を買った後、タイトルと設定は残しつつも中身全然違うじゃん! という作品も多いかと思います。
金沢 多いかはわからないですけど、そういうものもありますよね。場合によっては、企画を通すために原作が必要、ということもあるご時世ですので。
─── では、脚本家・金沢達也は映画『暗殺教室』を作るにあたって、原作とどう向き合ったんでしょうか?
金沢 原作ものに関わるとお話をいただいて、おし、じゃあ脚本家としてはこれをどう変えてやろうか……という考えも正直ありました。
─── やっぱり。
金沢 最初はそう考えるわけです。でも、原作漫画を読んで、「ちくしょう! 何だよ、この設定。おもしれーなぁ」と(笑)。
─── 脱帽しちゃった!
金沢 どう変えようかなぁー、と思いながら読んでるのに、読み進めるうちにどんどん引き込まれてしまって。なので、プロットを作るためにプロデューサーや羽住(英一郎)監督と打ち合わせをしたときも、かなり早い段階から「この世界観を完全に再現しよう!」ということで一致しました。それが決まってしまえば、あとはもう脚本を書くといっても理系的な作業でしたね。
─── 理系?
金沢 基本的には原作の順番通りに描いていかないとキャラクターに感情移入がしにくいんですけど、当然ながら原作のエピソード全てを映画で描くわけにはいかない。なので、原作エピソードのうち、どれを残してどういう順番に並べれば、世界観を残しつつ映画作品として完成できるのか。そういうパズル的な作業が一番の肝でした。
─── 引き算の脚本。
金沢 それができれば、あとはキャラクターに命を吹き込むべく、台詞を整えていく作業になるんですけど……残念なことに、台詞にしても原作が優れているから、基本的にはほぼそのまま使えてしまうという(笑)。まあ、エピソードは原作と同じでも、映像化するにあたってシーンを変えなきゃいけないことは多いので、その辺では頑張っております。
《CGと脚本の関係性》
─── この映画の特徴として、殺せんせーの描写をはじめとしてCGがふんだんに使われている点があると思います。CGシーンの場合、脚本にする上ではどういう想定をして書くんでしょうか?
金沢 その点に関しては、相手があの羽住監督なわけですから結構サボったというかお任せしたというか(笑)。もちろん、こういうイメージですかね? といったものは自分の中にも持っていました。でも、打ち合わせの段階から羽住監督のイメージをお聞きしていたこともあり、僕自身のイメージをこと細かに書いたりはしませんでしたね。
─── このインタビューだけだと、あんまり仕事をしてないんじゃないかと誤解を生みませんか?(笑)
金沢 脚本家としてこれだけは言っておきます。今回の映画『暗殺教室』、一番の見どころは、CGです!
─── ダメ押しした!
金沢 やっぱり、そこ(CG)にお金も時間もかかっていますから。しかも、いわゆるハリウッド的なCGとはまた違った、漫画世界を忠実に再現するためのCGというか3DCGというのか。これだけ漫画の世界観を壊さないCGというのはスゴイことだと思うんです。教室の中で変な生き物が動いている! あの感じはなかなか出せるものじゃないと思います。
《演者と脚本の関係性》
─── 先ほど、台詞もほとんど原作のままで、というお話がありました。演者に応じて何か変えたりとかもなかったんでしょうか?
金沢 そうですね。最初、漫画のキャラクターを元にアテ書きをしていて、途中で主演の山田(涼介)君をはじめキャストがどんどん決まっていったんですね。当初、演者によっては多少台詞を変える必要があるかもなぁ、とは思っていたんですが、配役を見て「あ、もうこのまま行ける!」と。キャスティングがまた絶妙ですよね。
─── 赤羽業(カルマ)なんかは、見た目の印象は原作とはちょっと違うんですけど、演技を見ていくと、あぁカルマだ、とすんなり入ってきました。
金沢 カルマは確かに印象がちょっと違うんですけど、映画ならではの、菅田将暉君ならではのカルマになっているというか。やっぱりノってる俳優は違うな、というのは感じましたね。山田君と菅田君の存在感は別格でした。
─── 最初、『暗殺教室』を実写映画化すると聞いて、じゃあ設定は中学から高校に変えるのかな? と思ったんです。でも、ふたを開けてみたら原作通り、椚ケ丘中学3年E組で。
金沢 あ、確かに最初は高校にすることも考えたかもしれません。その方が、役者陣は揃えやすいわけですから。
─── 山田涼介も菅田将暉もどちらも1993年生まれの今年22歳。それが中学生? 大丈夫か?っていうのは、観るほうとしてはやっぱり思うわけです。
金沢 でも、ちゃんと中学生に見えましたよね。そこはやっぱり、役者としての力であり、監督を始めスタッフの皆さんの力なのかなと思います。
(後編へ続く)
映画『暗殺教室』、3月21日(土・祝)から全国東宝系にてロードショー!!
(オグマナオト)