暮れのエリカ賞6着のノ―スストーム。前走は太め残りで、今回が狙い目だ

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【中央競馬・今週の狙い馬】

今週は3日間開催。11日(日)に3歳重賞・シンザン記念(京都競馬場/芝1600m)が、12日(月・祝)に3歳牝馬重賞・フェアリーS(中山競馬場/芝1600m)がある。ここから、どんな馬たちが大舞台へと羽ばたいていくのか。春クラシックへ向けて要注目の一戦だ。

◆以前と違い春G1への“重要度”が増すシンザン記念

 なぜか記憶が薄い。ここ3年のシンザン記念のことだ。2012年はジェンティルドンナが勝ち、昨年はミッキーアイルがV。歴史的名牝と現役屈指の快速馬が勝利に名を連ねている。それにもかかわらずにこのありさまである。いずれもリアルタイムで観ていない。それが理由だろう。

 3年まえ。現在も出演させていただいているラジオ関西さんの「競馬ノススメ」が唯一の仕事だった。厳密にいえばアルバイトを並行。近所のスーパーマーケットのゲームコーナーで子どもたちと格闘していた。日曜日は趣味の卓球で汗を流す。シンザン記念当日は午前中に練習して、おにぎりをふたつ食べて午後も練習。6時間も1円球3枚と同じ270グラムの球を追い続けた。コーチが現役の日本リーガーで、僕も真剣だったのだ。

 夕方にメールが入る。ラジオ番組で共演していた芸人さんから「藤村さんの本命のプレミアムブルー、3着にきましたよ!」と記されている。複勝が820円もついているではないか。帰宅して映像で確かめると、ジェンティルドンナが桁違いに強かった。

 エーシントップが制した一昨年は祖母の訃報を聞き山口県に帰郷していた。幼少時に祖母のもとに預けられていた僕はおばあちゃん子で、棺を持つと涙が止まらない。お陰様で競馬の仕事をいろいろとレギュラーでいただくようになっており、心のなかで96歳で他界した祖母にそれを告げた。エーシントップの迷いのない逃走劇。鞍上の浜中騎手の騎乗を帰宅後に映像で確かめ、もやもやしたものが少し晴れたのを覚えている。

 昨年は金沢から訪ねてきた親友を迎えるため自宅の最寄り駅にいた。すぐに呑み始めて深夜になるとカラオケボックスで朝まで唄った。徹夜なんていつ以来だろうか。朝型の競馬記者生活を20年近く送った。全く眠くならなかったのはフリーの身を楽しめている証拠かもしれない。翌朝にチェックしたミッキーアイルの走りはのちの大活躍を予感させるものだった。

◆伏兵・ノースストームに期待 大穴はヤマニンマンドール

 今年のシンザン記念はスタートの瞬間にテレビのまえにいよう。実力が拮抗している印象が強い。伏兵・ノースストームに期待してみたい。前走は14kg増でやや太め残り。気負う場面があったことを考慮してもマイルの舞台への参戦は吉と出るように思う。

 ダッシングブレイズは根性があり完成度が高い。グァンチャーレは行きたがったうえに直線で進路ができるまで時間を要した前走でしぶとく差を詰めた。ハートが強く幅広い戦法が取れる点に好感が持てる。

 一発ならヤマ二ンマンドール。前走は後手に回り、直線でも窮屈な体勢を強いられた。走法やレーススタイルから京都競馬場の外回りコースが合いそうなイメージを抱かせる。

 フェアリーSは2頭に注目。アドマイヤピンクは体力がつききっていないフォームに映るが、馬場の大外を勢いよく伸びた前走がいい。阪神JF9着のオーミアリスは上積み十分。タイトな競馬を経験した強みを持ち、いい脚を持続できる。追い比べになれば楽しみが膨らむ。

藤村和彦(ふじむらかずひこ)競馬解説者。1992年から2010年までデイリースポーツ社で記者、デスクとして中央競馬を担当。現在は、週刊『競馬ブック』誌上での「藤村和彦のインタビュールーム」連載、ラジオ関西「競馬ノススメ」(毎週土曜16時30分〜17時)レギュラーなど、フリーで競馬予想、競馬解説、コラム執筆などの活動をしている。公式サイト/

(Photo by JRA)