男性用ブラが浸透…女性用着用派も存在し市場が拡大
“ブラ男”という言葉を聞いたことがありませんか? ブラジャーをする男性が最近増えているといいます。男性がブラ……? その動機は、「気持ちがシャキッとする」「安らいだ気持ちになれる」「変身願望を満たされる」と実にさまざまです。
今回、そんなブラを愛好する男性たちから話を聞くことができました。
クールビズの時期は辛い機械メーカー勤務の水沢康介さん(仮名・40歳)はブラ男歴5年。きっかけは仕事でのストレスからだったそうです。
「女性は優しさの象徴だと僕は考えます。だから目に見えない部分で、女性を意識するものを身に着けることで心満たされるのではないかと思ったんです。ネットで購入すると予想通りの効果を得ることができた。いまでは常に身に着けています」
営業職の水沢さんは就業時はスーツ着用。ブラの線が目立たせないために気を遣うといいます。
「秋冬はいつもスリーピースのスーツです。だから大丈夫ですが、夏場、クールビズの時期は辛いです。その時期、上着は常に手放せません。でも、職場や取引先からは、『夏場でもきちんとした服装の人』と信頼を得られました。ブラのお陰です」
男性用ブラ派と女性用ブラ派が存在するブラ男にもいくつかグループにわかれます。冒頭で紹介した水沢さんのように「ブラ」だけを身に着けたいという人。このタイプのなかには、ネット上で販売されている「男性用ブラ」でも問題ないという人もすくなくありません。
「僕は男性用ブラを今では愛用しています。男性の体型に合わせて作られているのでつけ心地がいい。ショーツは身に着けていません。ブラだけでも晒しを巻くような効果があるので十分満足しています」(水沢さん)
他方、地方公務員の大貫強志さん(仮名・38歳)は、「男性用ブラは邪道だ」とし、あくまでも女性用ブラを身に着けています。
「僕は女性用の着用が基本です。ショーツも身に着けています。ストッキングもガーターです。手洗いではじっくり時間をかけて身支度して……。女性用下着を身に着けるからこその醍醐味です。その度に気持ちも引き締まります」(大貫さん)
肥満体型となり胸が出てきたことがきっかけで女性用下着に興味を持ったという大貫さんは、女性からの圧倒的人気を誇る海外の有名ランジェリーメーカーのそれを愛用している。
「ブラとショーツ、ガーターとストッキング、セットで10万円近くかかります。いつも高価なものを身に着けているためか気持ちに余裕が出ます」(前出・同)
ブラ男は彼ら2人にみられるように、あくまでも外見は男性の服装で下着だけを女性用のそれを身に着けるという人を指すようです。女装とはまた別の概念だといいます。
事実、紹介した水沢さん、大貫さんの2人は女装はしません。しかし、彼ら“ブラ男”仲間の中には平日の帰宅後や休日は女装を楽しむ人もいるそうです。
女性用ランジェリーの男性購入者は年々増えているさて、こうした男性がブラやショーツを身に着けることをメーカー側はどうみているのでしょうか。
国内・海外のメーカーいくつかに問い合わせてみると、「市場がまだまだ小さいので、あらためて“男性用ブラ”などの製造・販売の予定はない」(国内中堅メーカー広報)といいます。
しかし、近年、女性用下着を購入する男性は年々増えているため、「自らの着用目的での購入も増えているのかもしれない」(前出・同)ということでした。もしかすると男性用ブラというあらたなるマーケットが拡大されるのかもしれません。
国内のいくつかのメーカーでは男性用ブラの製造を行なっていない今、これらメーカーの株を買っておけば製造が決まるとその株価は上昇が予測されます。そうすると今が「女性用下着メーカーの株の買い時」(経済アナリスト)というわけです。
(取材・文/陳桂華)