全24種類のノートの実例もあり、見ているだけで参考になる「図解 頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?」

写真拡大 (全3枚)

「あなたは、ノートのとり方を教えてもらったことがありますか?」

「図解 頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?」で、このように問いかけられて、「確かになかったかも!?」と思い当たりました。事実、99%以上の人がノートのとり方を教えてもらったことがないんだそうです。ノートといえば学校で、先生の板書を書き写すものだとばかり思っていたため、この言葉には目から鱗でした。

著者の高橋政史は経営コンサルタントを務めるかたわら、ノートスキルの指導を通して「読み・書き・プレゼン」力を養成する私塾も主催。ビジネスパーソンから小学生まで、幅広い層に「ノートのとり方」を教えています。

本書はそのエッセンスが凝縮されたもので、以前出版された「頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?」の図解版にあたります。前著は文章中心で具体例に乏しかったのに対して、フルカラーで図版がたっぷり。全24のノートのとり方の事例も紹介されており、価格も1512円から1080円に値下げと良いことづくめ。前半が学生向けで後半が社会人向けと内容も幅広く、パラパラとめくるだけで参考になるという、非常にお得な一冊だといえるでしょう。

主張はシンプルです。目的はノートを「思考の道具にする」こと。そのためにはノートを「情報を書き記すメモ帳」ではなく、「情報をもとに考察し、結論を導き出すためのツール」にするということ。そのためには方眼ノートを横に使い、上に「論点と結論」を書くための見出しスペースを取ること。そして下側を三分割して「事実」「解釈」「行動」を、それぞれ記入していくこと。これだけです。

これを基本フォーマットに、業務や特性などに応じて、さまざまにバリエーションを広げていきます。ポイントはノートをラインで区切ってフレームワーク化し、情報を整理しつつ、思索の助けにすること。すなわち「ただ漠然とメモを取るのではなく、アウトプットをイメージしながら、考えてノートを取れ」というわけです。

フレームワークとは「モノの考え方や視点」のこと。幾何学の問題で接線の引き方が重要なように、情報分析や戦略の立案時には、さまざまなフレームワークが用いられます。X軸とY軸でものごとを4分割するマトリックス法や、物事を計画・実行・点検・改善のサイクルで回しながら進めていくPDCA、樹形図のようにアイディアを広げていくマインドマップなどは、フレームワークの好例です。

本書で紹介されている「事実」「解釈」「行動」もその一つで、マッキンゼーなどの外資系コンサルティング会社で多用されています。コンサルタントに必要なのは、何らかのトラブルを抱えているクライアントに対して、現状の問題点を客観的な立ち場から整理し、解釈して、具体的な解決策=行動指針を提示すること。いわば本書が推奨しているのは、「頭の中に自分専用のコンサルタントを住まわせる」ことだといえるでしょう。

ちなみに、この手の「ノートのとり方本」は他にたくさん出版されています。「フィンランドメソッド」「コーネル式ノート」「ビジネスモデルキャンバス」・・・言ってることは全部同じで、フレームワーク(=ノートの線の引き方)の紹介と、その活用術です。本書ではさらっと、書名と図版入りで8種類も紹介しています。本を読まずとも、図版だけ見れば各々の概要が分かってしまう! いいのか? ホントにいいのか・・・?

いいんです! ぶっちゃけ、この図解版があればオリジナル版すら不要ですから。ぜひ書店で手にとって、パラパラしてみてください。
(小野憲史)

ライター小野憲史の動画でレビュー