これは買い。電子書籍版「週刊少年ジャンプ」を超ていねいに検証してみた
熱心な週刊少年ジャンプファンであるならば、この3週間は頭に「?」を浮かべながら待っていたことでしょう。9月1日発売号から謎の広告が目次コメントの2ページ前に掲載され、新サイトがオープンし、いったい何が始まるのだろうとわくわくしていた謎のサービスが、ついに明かされました。
それが9月22日にオープンした「少年ジャンプ+」(以下ジャンプ+)です。Webページと同時にiOS版、Android版のアプリも同時に配信開始されました。このサービスの特筆すべきは「週刊少年ジャンプを発売日(月曜日)に買える」ということです。これは、買うしかない!
というわけで、いろいろと試してみましたので、早速レポートしていきます。
■ジャンプは月額900円、単体300円
まず一番大切な情報であろう配信のタイミングです。これは毎週月曜日の朝5時に配信されるとのこと。コンビニでのジャンプ販売解禁と同じタイミングです。なので、朝起きてからその日のジャンプのダウンロードをセットし、通勤通学中に読むということは十分に可能です。
気になる価格は、単体では300円。定期購読では月額900円です。今のジャンプは1冊255円ですので、単体だと少し割高と言えるかもしれません。ですが、1ヶ月が4週ということを考えると、月額だと少しお得になります。さらになんと、ジャンプだけではなく、隔月で発行されるジャンプNEXTも定期購読の範疇に入るのです。これを考えると、だいぶお得と言えるのではないでしょうか。ちなみにWebページからは単体でしか購入できず、定期購読できません。定期購読をしたい場合にはiOS版かAndroid版から購入する必要があります。
単体でのジャンプ電子版は、連載のカラー版などがつくようになっています。今回配信の43号では、同じ号掲載のワンピース第761話のカラー版と、THE NARUTO ART COLLECTION 1999-2014が掲載されていました。
デジタル版は完全に紙の雑誌と同じかというとそうではありません。もちろん前述のカラーページは紙版には掲載されていません。また、各種記事企画、アンケート、新人賞の募集や講評、今月発売のジャンプコミックスの広告、次週予告、目次コメントなども電子版には掲載されていません。現在のジャンプでは読者投稿ページがお休み中なのですが、もしも掲載されたら電子版にも載るのか気になります。
目次の作者コメントは密かにファンも多いと思うコンテンツなので、何とか載せて欲しいところです。もっとも、紙版と電子版とでページ数が違うため、そのままコンテンツを流用すると数値がズレたりするのでそのまま載せることはできず難しいのでしょう。
基本的には原稿のデジタルデータをそのまま電子版に持ってきている印象でした。見開きの絵を表示させると、継ぎ目がほとんど気にならないページがほとんどです。中には少し線が入っているページもありました。でも、十分以上に楽しむことができます。
■アプリの使い勝手など。複数端末で使用可能
まずはWebページでもいいですし、アプリでもいいのですが、会員登録をしましょう。メールアドレスとパスワードで設定できます。そうすることで、複数の端末で購入情報を共有することができます。
ここでポイントなのは、iOS版とAndroid版、それぞれで購入情報を共有できることでしょう。どちらかで定期購読をすれば、もう一方でも読むことができます。家ではAndroidのタブレットで読み、外ではiPhoneで読む、ということも(もちろん逆でも)余分なお金をかけずに可能です。
しおり情報は残念ながらOS違いでは共有できないようです。iOS版の中では共有することができました。
ページめくりはフリックでスライドさせるか、ページめくりのためのタッチエリアをタップして行います。タッチエリアは設定によって大きくも小さくもできます。いわゆる普通の電子書籍ビューアーの機能は満たしていると言えるでしょう。
ちなみにiOS版でもAndroid版でも、OS側で画面のロックを設定していなかった場合、アプリ内で画面ロックを固定することができます。寝転がって読むときなどは、くるくる回転しないようロックして読むといいでしょう。
■コンテンツはジャンプLIVEのものも継続。単行本は別アプリで
ジャンプ+ではジャンプだけではなく、他の読み切りなども読めるようになっています。「望月家のお月見 岸部露伴は動かないエピソード4」(荒木飛呂彦)を始め、「黒子のバスケ番外編」(藤巻忠俊)、「KISSxDEATH」(叶恭弘)、「とんかつDJアゲ太郎」(原案:イーピャオ、漫画:小山ゆうじろう)、「ヘタリア World☆Stars」(日丸屋秀和)などなど、たくさんの漫画を無料で読むことができます。
面白いのは、作品によって読む方向が変わったりすることでしょうか。例えば「ヘタリア World☆Stars」は縦方向に読み進める作品になっています。
各種コンテンツは読むと「いいね!」ならぬ「いいジャン!」をつけることができ、コンテンツを「いいジャン」順に並べ替えることができます。人気のあるコンテンツを探しやすくなっているのですね。
これらのコンテンツの中には別アプリの「ジャンプLIVE」で連載されていたものを継続して掲載しているものもあります。「エルドライブ【elDLIVE】」(天野明)などがその代表でしょう。なお、ジャンプLIVEはジャンププラスが発表された後、サービスを停止して更新を終了ました。ジャンプLIVE読者の人はこれからはジャンプ+へと移行しましょう。
ちょっとだけ残念だったのは、単行本のビューアーには対応していないこと。ジャンプ+のWebページでは各種単行本の電子版を購入することができるのですが、それらはジャンプ+アプリでは表示できません。今まで通り、JUMP BOOKアプリで読む形になります。ここはWebページでは対応しているのだから、ジャンプ+アプリでも読めるようにして欲しかったところです。
■目次コメントさえあれば……という人は多そう
ジャンプ派にとっては待望の電子版。しかし、熱心なジャンプ読者ほど読んでいるであろう各種企画記事、特に目次コメントが載っていないのは少し寂しいところです。目次コメントさえ収録されるか、別配信されるかすれば電子版の定期購読に切り替えるという人は結構多いのではないでしょうか。難しいとは思いますが、ここは是非とも何とかして欲しいところです。
とはいっても、気がつけば大量にスペースをとってしまうジャンプをコンビニに行かずに購入することができるのは大きいです。また、長期で海外出張をする人などは、周囲に「この週とこの週のジャンプを買っておいて」と言わなくて済むというメリットがあります。これは、意外と悩まされている人が多いポイントではないでしょうか。
いずれにせよ、Dモーニングに続いてジャンプが定期購読型アプリを出してくれたのはうれしいことです。今後、いろいろな雑誌がこのスタイルで配信されることを願っています。
(杉村 啓)
少年ジャンプ+ ジャンプの漫画が無料で読めるマンガ雑誌アプリ - SHUEISHA Inc.
それが9月22日にオープンした「少年ジャンプ+」(以下ジャンプ+)です。Webページと同時にiOS版、Android版のアプリも同時に配信開始されました。このサービスの特筆すべきは「週刊少年ジャンプを発売日(月曜日)に買える」ということです。これは、買うしかない!
■ジャンプは月額900円、単体300円
まず一番大切な情報であろう配信のタイミングです。これは毎週月曜日の朝5時に配信されるとのこと。コンビニでのジャンプ販売解禁と同じタイミングです。なので、朝起きてからその日のジャンプのダウンロードをセットし、通勤通学中に読むということは十分に可能です。
気になる価格は、単体では300円。定期購読では月額900円です。今のジャンプは1冊255円ですので、単体だと少し割高と言えるかもしれません。ですが、1ヶ月が4週ということを考えると、月額だと少しお得になります。さらになんと、ジャンプだけではなく、隔月で発行されるジャンプNEXTも定期購読の範疇に入るのです。これを考えると、だいぶお得と言えるのではないでしょうか。ちなみにWebページからは単体でしか購入できず、定期購読できません。定期購読をしたい場合にはiOS版かAndroid版から購入する必要があります。
単体でのジャンプ電子版は、連載のカラー版などがつくようになっています。今回配信の43号では、同じ号掲載のワンピース第761話のカラー版と、THE NARUTO ART COLLECTION 1999-2014が掲載されていました。
デジタル版は完全に紙の雑誌と同じかというとそうではありません。もちろん前述のカラーページは紙版には掲載されていません。また、各種記事企画、アンケート、新人賞の募集や講評、今月発売のジャンプコミックスの広告、次週予告、目次コメントなども電子版には掲載されていません。現在のジャンプでは読者投稿ページがお休み中なのですが、もしも掲載されたら電子版にも載るのか気になります。
目次の作者コメントは密かにファンも多いと思うコンテンツなので、何とか載せて欲しいところです。もっとも、紙版と電子版とでページ数が違うため、そのままコンテンツを流用すると数値がズレたりするのでそのまま載せることはできず難しいのでしょう。
基本的には原稿のデジタルデータをそのまま電子版に持ってきている印象でした。見開きの絵を表示させると、継ぎ目がほとんど気にならないページがほとんどです。中には少し線が入っているページもありました。でも、十分以上に楽しむことができます。
■アプリの使い勝手など。複数端末で使用可能
まずはWebページでもいいですし、アプリでもいいのですが、会員登録をしましょう。メールアドレスとパスワードで設定できます。そうすることで、複数の端末で購入情報を共有することができます。
ここでポイントなのは、iOS版とAndroid版、それぞれで購入情報を共有できることでしょう。どちらかで定期購読をすれば、もう一方でも読むことができます。家ではAndroidのタブレットで読み、外ではiPhoneで読む、ということも(もちろん逆でも)余分なお金をかけずに可能です。
しおり情報は残念ながらOS違いでは共有できないようです。iOS版の中では共有することができました。
ページめくりはフリックでスライドさせるか、ページめくりのためのタッチエリアをタップして行います。タッチエリアは設定によって大きくも小さくもできます。いわゆる普通の電子書籍ビューアーの機能は満たしていると言えるでしょう。
ちなみにiOS版でもAndroid版でも、OS側で画面のロックを設定していなかった場合、アプリ内で画面ロックを固定することができます。寝転がって読むときなどは、くるくる回転しないようロックして読むといいでしょう。
■コンテンツはジャンプLIVEのものも継続。単行本は別アプリで
ジャンプ+ではジャンプだけではなく、他の読み切りなども読めるようになっています。「望月家のお月見 岸部露伴は動かないエピソード4」(荒木飛呂彦)を始め、「黒子のバスケ番外編」(藤巻忠俊)、「KISSxDEATH」(叶恭弘)、「とんかつDJアゲ太郎」(原案:イーピャオ、漫画:小山ゆうじろう)、「ヘタリア World☆Stars」(日丸屋秀和)などなど、たくさんの漫画を無料で読むことができます。
面白いのは、作品によって読む方向が変わったりすることでしょうか。例えば「ヘタリア World☆Stars」は縦方向に読み進める作品になっています。
各種コンテンツは読むと「いいね!」ならぬ「いいジャン!」をつけることができ、コンテンツを「いいジャン」順に並べ替えることができます。人気のあるコンテンツを探しやすくなっているのですね。
これらのコンテンツの中には別アプリの「ジャンプLIVE」で連載されていたものを継続して掲載しているものもあります。「エルドライブ【elDLIVE】」(天野明)などがその代表でしょう。なお、ジャンプLIVEはジャンププラスが発表された後、サービスを停止して更新を終了ました。ジャンプLIVE読者の人はこれからはジャンプ+へと移行しましょう。
ちょっとだけ残念だったのは、単行本のビューアーには対応していないこと。ジャンプ+のWebページでは各種単行本の電子版を購入することができるのですが、それらはジャンプ+アプリでは表示できません。今まで通り、JUMP BOOKアプリで読む形になります。ここはWebページでは対応しているのだから、ジャンプ+アプリでも読めるようにして欲しかったところです。
■目次コメントさえあれば……という人は多そう
ジャンプ派にとっては待望の電子版。しかし、熱心なジャンプ読者ほど読んでいるであろう各種企画記事、特に目次コメントが載っていないのは少し寂しいところです。目次コメントさえ収録されるか、別配信されるかすれば電子版の定期購読に切り替えるという人は結構多いのではないでしょうか。難しいとは思いますが、ここは是非とも何とかして欲しいところです。
とはいっても、気がつけば大量にスペースをとってしまうジャンプをコンビニに行かずに購入することができるのは大きいです。また、長期で海外出張をする人などは、周囲に「この週とこの週のジャンプを買っておいて」と言わなくて済むというメリットがあります。これは、意外と悩まされている人が多いポイントではないでしょうか。
いずれにせよ、Dモーニングに続いてジャンプが定期購読型アプリを出してくれたのはうれしいことです。今後、いろいろな雑誌がこのスタイルで配信されることを願っています。
(杉村 啓)
少年ジャンプ+ ジャンプの漫画が無料で読めるマンガ雑誌アプリ - SHUEISHA Inc.