食い下がった桶川、負けても確かな自信と手ごたえ  

二回に二塁打した津田君(聖望学園)

 前日に降った強い雨が、朝まで残って心配されたが、8時過ぎにはすっかりあがって太陽も出てきた。試合は砂入れをして約30分遅れてプレーボールとなった。 聖望学園は初回、先頭の菊池君が中前打で出ると、ボークと死球などで二死一、二塁として5番大野君が左中間を巧みに破る二塁打で2点を先取した。長澤君のスライダーに上手くバットを合わせた技ありの一本だった。 2回にも聖望学園は、左前打で出た8番小金井君を二塁に進めると、二死から津田君が左中間に二塁打して3点目を奪った。ここまで、聖望学園打線は、長澤君をいい感じで捉えていた。ところが、その後はすっかり長澤君が立ち直っていって、聖望学園打線がその術中にハマって行った。

 そして、桶川が反撃に出て3回、二死から2番石井君が四球で出ると、二つの暴投で三塁まで進み、大塚君が中前へゴロの安打を放って、1点を返した。相手から貰った好機をしっかりと得点に結び付けて行くところは、桶川の試合運びのうまさも感じさせるものだった。こうして、徐々に聖望学園の中村 碧聖君を捉え始めていった。それを感じた聖望学園ベンチは、5回途中で思い切って中村君を下げて、右サイドハンドの松本君を投入して、何とかかわして、そのまま逃げ切ることができた。

松本君は、制球の良さが持ち味で、早いカウントで相手を追い込んでいって、巧みに抑えていた。球威のあるタイプではないけれども、自分のリズムは崩すことなく丁寧な投球だった。

 

桶川・長澤君

 また、桶川の長澤君もすっかり立ち直って、3回以降はまさに自分の投球だった。走者を出しても慌てることなく、相手をじらすような間の取り方なども持ち味といっていいのだろう。 こうして、試合は動かずそのまま聖望学園が何とか序盤のリードをキープして逃げ切った。試合時間2時間41分、スコアの割には少し長い試合になってしまった。

 聖望学園の岡本幹成監督は、「先制したまではよかったんだけれども、あの投手は打ちにくいやろうなぁと思っていたら、いつの間にかどんどんそうなってしまって…。丁寧に行こうとして、却ってハマっていってしまういかんパターンやったね」と、独特の関西弁で些か渋い表情だった。それでも、「このチームは秋に勝っていないから、こうして勝っていくことが大事ですからね。苦しい思いしても、勝っていくことで、これが自信になってもらえればいいかなと思っていかなしゃぁない」と、結果を出しながら、それを自信としていく方向性示していた。

 桶川の大野仁監督は、「面白いチームになってきたな、という実感はありますよ」と、ある程度は指揮官の目指すチームに近づいていっているという感触はあるようだ。ただ、この日の試合に関しては、「もう少し揺さぶりたかったんですけれども、あと一つ足りませんでした。何かやってくるぞ、ということを相手に感じさせられるチームにしていきたいですね」さらに、チームとしての精度を上げていくことが夏への目標である。 新入生も22人が入部。強豪に対して、こうした食い下がりを示した試合は、いい刺激になっているようだ。また、自分たちのチームに対しての自信にもつながっていくだろう。

(文=手束 仁)