「映画館落語 かもめ亭」第二弾
10月20日(土)より2週間、全国ワーナー・マイカル・シネマズに独占上映
(C)2012「映画館落語 かもめ亭」製作委員会/配給:マイシアター
上映時間:81分 当日料金:1500円

女性限定の試写会イベントでは映画のプロデューサーでもある林家たい平(写真右)と春風亭ぴっかり(写真中央)によるトークショーも開催され、会場をにぎわせた。

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春風亭昇太の巨大な顔がスクリーンに映る。
落語家の顔をまじまじ見ることってないけど、昇太師匠の顔、とても血色がよくシワもない。これで53歳!?

《スクリーンならではの楽しみとして、昇太師匠の53歳とは思えない肌のツヤをぜひ見て欲しいです。何も背負ってない男というのはこんなにも楽なのか!と》

映画が始まる前にこう語った林家たい平師匠の言葉、ウソじゃない。実際、下手な女性よりも肌ツヤいいんじゃなかろうか。と、周りが女性ばかりだったのでつい比較して見てしまいそうになる。

ここは文化放送メディアプラスホール。女だらけの落語鑑賞イベント。
「映画館落語 かもめ亭」第二弾 × 「らくこのらくご」コラボ企画 女性限定試写会
文化放送が呼びかけ、「もっと気軽に寄席を楽しんでもらいたい」という思いから落語家・林家たい平がプロデュースを手がけた「映画館落語 かもめ亭」の公開記念イベントだ。

「らくこのらくご」とは女性向けの落語会。落語が好きな女の子を「らくこ」と名づけ、一度聴いてみたいなぁ。でも、ハードルが高いなぁと、思っている隠れ「らくこ」に向けて、様々な初心者向け落語イベントを開催している。
でも、女性に限らず、落語を見てみたいけどまだ見たことがない人って多いんじゃないだろうか。世間じゃ落語ブームだ、なんて言われ、ガールズ落語『じょしらく』のアニメも人気だったけど、「本物の落語」に触れる機会はなかなかない。試写会イベントで行われた林家たい平師匠のトークショーでも、この問題について言及がされた。

《全国の皆さんから、「落語に触れる機会がない」「もっと近くで楽しめる場所が増えたらいいのに」という声をよくいただきます。寄席の数を増やすことはなかなか難しいのですが、考えてみたら、各地に数多くのシネコンができて、ある程度の規模の街には映画館が必ずある。それって昔の寄席に似ているなと。昔は江戸の各町内に寄席が一軒ずつあって、ふらっと立ち寄れる場所だったんですね。だから、映画館と落語というのはとても相性の良い組み合わせなんじゃないかと思うんです》

こうして制作された映画館落語第一弾では桂歌丸、三遊亭小遊三、ぺぺ桜井が出演。好評を博し、早くも第二弾が明日10月20日から全国ワーナー・マイカル・シネマズ系の映画館で2週間にわたって公開される。

《6月に第一弾を公開したばかりなのにもう第二弾。急いで作ったように思われるかもしれませんが、実は第一弾の方が大急ぎで作りました。なんたって、いつあの世に逝かれちゃうかわかんない方が出てますから(笑)。「この映像は生前撮影したものです」なんてテロップ付きの映画、興ざめでしょ?》

たい平の軽快なトークにドッと沸く会場。
そういえば15年前、桂歌丸、三遊亭楽太郎(当時)という豪華ラインナップに誘われてはじめて寄席に行った際、楽太郎のマクラが《皆さん今日は貴重な場にいらっしゃいました。桂歌丸、最後の舞台を目撃できた皆さんはたいへんラッキーです。明日にでもポックリいってもおかしくないんですから!》だったことを思い出す。時を超えて同じネタでいじられ・いじる笑点メンバーの安定感が嬉しい。
そして、隣の人と一緒に笑えることで生まれる一体感の心地よさ。同じところで笑えれば安心するし、自分とは違う箇所で笑いが起きれば見逃すまいと集中力も増す。何より笑いが増幅していくことでテンションもますます上がっていくのだ。

今回の「映画館落語 かもめ亭」第二弾には三遊亭円楽、春風亭昇太、翁家和助・小花が出演。
三遊亭円楽は名だたる噺家たちが得意としてきた古典落語「ずっこけ」を、春風亭昇太も有名な古典「長命」を披露。そして、色物として登場する翁家和助・小花が、絶妙なコンビネーションで太神楽を演じる。
また、撮った演目をそのまま流すのではなく、舞台にあがるまでの楽屋裏の談笑風景、囃子太鼓の前でタイミングをはかる様子など、普段見ることができない風景を収めているのもこの映画の特徴。「笑い」だけでなく、現場にある「空気感」を伝えよう、という意図がよく伝わってくる。
だからなのか、個人的に引き込まれたのは、円楽よりも昇太よりも、翁家和助・小花の曲芸の数々。スクリーンの大画面で見ると、生とはまた違った迫力が生まれ息をのむ瞬間が何度となく訪れる。あっという間に過ぎていく81分間だった。

興味を持っていただいた方に、林家たい平プロデューサーによるオススメポイントを最後に紹介したい。

《今日は女性限定イベントですけど、カップルで観に行くのもいいですよ。どんなマヌケな男でも、落語家に比べたら立派に見えますから》

確かに、デートに落語、っていうのもまたオツかも。
でも、昇太師匠がマクラの中で、独身がいかに自由で楽しいか、たい平師匠が結婚後にいかにくたびれたのかをさんざん説いてくる。間違いなく面白かったんだけど、夫婦で聴くと喧嘩の種になるかもしれないのでご注意を。53歳の無責任男、恐るべし。

◇「映画館落語 かもめ亭」第二弾
10月20日(土)より2週間、全国ワーナー・マイカル・シネマズに独占上映
(C)2012「映画館落語 かもめ亭」製作委員会/配給:マイシアター
上映時間:81分 当日料金:1500円

(オグマナオト)