【仏国ブログ】福島への取材に同行「普段着で生活する住民が心配」
東日本大震災が発生した3月11日から半年あまりが経過した。フランス人のブログ「Des Images Et Des Mots」では、カメラマンである筆者が、原発事故から6カ月が経過した福島への取材に同行し、その体験や印象をつづっている。
筆者らは、いわき市の四倉に到着した。事故現場から半径20キロメートル以内は立ち入り禁止で、20〜30キロメートル以内は居住可能だが、外出禁止のため、実際に住んでいる人は見られなかったと説明。現地は一般居住者ではなく、津波で崩壊した建物の処理をする人や、原発事故処理の作業に当たる人だけがいたという。
筆者は、事故現場から半径35キロメートルほどの地点にいたため、見えない放射性物質から体を保護するべきかどうかと考えていた。しかし、通りすがりの海岸にいた女性2名は普段着で、またその周辺でであった人たちもTシャツと半ズボンに素足といった服装だったと伝えている。
その後、立ち入り禁止である半径20キロ地点に行くことになった。しかし、道に迷った筆者たちは、通行が許可されている主要道路ではない道に入ってしまった。そのため、警察に追跡され注意された。道に迷ったと伝えると「誰でも迷うことがありますね」と親しい態度だったので、高圧的なフランスの警察官と異なる印象を抱いたという。
警察官たちは、通行禁止地帯の住居への空き巣などの犯罪を阻止するために、現地でパトロールしているという。しかし、本来外出が禁止されている半径20〜30キロメートル地点で、防護服も着用せずに任務に当たることについて、疑問に思った筆者は、放射性物質に汚染されることが心配ではないかと質問した。しかし、警察官は現地では放射性物質は通常の3倍程度で、大丈夫ですと答えたという。
フランスでは、原発事故の影響が重大視されている。フランス人の筆者もそれなりの危機感をもっていたが、現地の人がこれを楽観視していることが大変印象的だったと述べている。
フランスで報じられている「危険・汚染されている」といった印象とは異なった様子だったことについて、筆者は特に賛同も批判もしていないが、現地に住む人の健康を終始憂慮している様子がうかがえる。（編集担当：山下千名美・山口幸治）
