セカンドライフのラブホにある 「Hベッド」とは?
米リンデン・ラボが運営するオンライン上の仮想3次元空間「セカンドライフ(Second Life)」では「仮想セックス」が盛り上がりを見せているが、その「仮想セックス」を可能にする「Hベッド」をめぐって、米国で訴訟が起こされた。「Hベッド」に仕込まれた「性行為」のアニメーションが違法コピーされたというのだ。日本人居住区のラブホテルでも「Hベッド」が備えられおり、今回の訴訟は日本と無関係ではない。
アニメーションのコピーはできないように設定されていた
2007年8月13日のAP通信などによると、訴訟を起こしたのはフロリダ州タンパのケヴィン・アルダーマーさん(46)。45ドル(約5,400円)で売られている「SexGen」と名づけた「仮想セックス」ができるアニメーションのコピー防止装置が破壊され、アニメーションのコピーが販売されたとして、タンパにある連邦地方裁判所に訴訟を提起した。
「セカンドライフ」では、アバター(ネット上の分身)同士による「仮想セックス」が盛んに行われているが、それはプログラム言語で設定されたアニメーション機能を使って行われる。アバターが「Hベッド」に仕込まれたアニメーション機能を選択すると、「性行為」のポーズを取り、その動作を行うというもので、様々な「体位」を選択して、「仮想セックス」することがプログラム言語によって設定されているのだ。
実際、ケヴィン・アルダーマーさんが所有しているショップでは、100の「体位」が選択できるとされる「SexGen」が商品として販売されているが、アニメーションのコピーはできないように設定されている。これが何者かによってコピーされ、販売されたようなのだ。
米国の報道では、コピーを販売しているアバターは、著作権侵害であることを通告されると「何する気?訴えるの?」などとシラを切ったようだが、アルダーマーさんの弁護士はこのアバターのリアルの世界での所在を突き止めたと述べている。
「セカンドライフ」では「性ビジネス」がお金になる
なぜ、「仮想性行為」をめぐって提訴にまで発展してしまうのか。
現在、「セカンドライフ」では「仮想セックス」で大きな盛り上がりを見せており、これらに必要なアイテムが仮想通貨「リンデン・ドル」で売買されている。この「リンデン・ドル」はリアルマネー・米ドルと換金でき、こうしたアイテムを売り出せば、実際にお金を儲けることができる、というわけだ。アルダーマーさんのショップでも、アニメーションのほか「性行為」や「2人で寄り添って寝る」アニメーションが仕掛けられた「Hベッド」が500〜8,000リンデンドル(約250〜4,000円)ほどで販売されているほか、「仮想セックス」用の「仮想性器」やSMグッズなどが販売されている。
こうした「セカンドライフ」での「性ビジネス」は日本人居住区の「SUSUKINO」「KABUKI」といった仮想歓楽街でも盛んで、リンデンドルを支払って「Hベッド」が完備された部屋で他のアバターと「2人っきり」の時間を過ごせるラブホテルまであり、アバターたちの溜り場ではナンパが頻繁に行われている。
さらには、「ストリップ劇場」の美人ストリッパーに話しかけると、「エスコートもやっております」と、仮想「売春」を持ちかけられる場合もある。ただし、アバターが美人であっても「エスコートガール」を操っているユーザーが「女性」とは限らず、「実は男が多い」といった噂もある。