【歳川 隆雄】米国では「アンチAI」の風潮も…中間選挙の結果を左右しかねない? 米国内の分断を加速させる「AI問題」

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AI開発をリードしてきた米国を中国が猛追している。すでに、米国の最新AIに劣らない性能のものを開発したとの調査結果もある。今後は米中両国に最新AIが集約されていくはずだ。しかし、米国の足元では、AIへの嫌悪感が広がっているという。

前編記事『ナスダック総合指数急落も…「AI大国」を目指して米国を猛追する中国の先端AI技術とその実力』より続く。

「AIが雇用を奪う」

米テック銘柄の株価下落だけではない。米側は中国との「宇宙覇権」抗争でも後れを取ると指摘されており、平静でいられるはずがない。加えて、AIが28年米大統領選を決定づける最重要イシューとなるとの見方が浮上しているのだ。

11月の米中間選挙戦に向けて、巨大なAIデータセンター建設が有権者の中で関心を抱く向きが増えているとされる「アンチAI感情」のシンボルになりつつある。ファクトベースというよりも感情論が大勢を占めるとされるが、「AIが雇用を奪う」という主張は民主党支持層だけではなく米国民に急速に浸透している。

奇しくも21日に日経新聞が主催した「GDS2026世界デジタルサミット」で講演した〈哲学者で独ボン学のマルクス・ガブリエル教授はAIと人間との共生モデルが求められているとし、「日本はこの分野で先陣を切ってイノベーションを起こし、新しい市場を展開できる」と話した〉(同紙21日付夕刊)とあるが、実際にはそれほど「綺麗ごと」ではない。

トランプの元側近がAI批判

なぜ、そう言えるのか。巨大なデータセンターは大量の電力を消費し、電力価格を押し上げていることから、すでに有権者の最大の不満である物価高騰に直接結びつく。

それゆえに、データセンターはAIに対する有権者の反発の標的となり、データセンター建設はAIに関する最初の政策的な争点になっている。そして反対運動は拡大が不可避である。

ジョシュ・ホーリー上院議員(共和党・ミズーリ州選出)とマーク・ワーナー上院議員(民主党・バージニア州選出)の2人は、AI導入による雇用削減の現状について、企業が四半期ごとに労働省へ開示することを義務付ける法案を提出した。

トランプ第1期政権時の首席戦略官だったスティーブン・バノン氏は5月、トランプ支持者60人超とともにホワイトハウス(WH)に対し、AIの公開前に政府による審査を義務付けるよう求めた。

同氏は、現政権の規制緩和加速政策は労働者が恩恵を受けないどころか、雇用破壊というハイテクのコスト負担を強いられると、WHの同政策担当高官を強く批判する。

このAI問題もまた、共和、民主党支持層を問わず米国内の分断を加速させる悩ましい難題である。

しかしトランプ政権の対中政策は、目先の中間選挙と関係なく、中長期的な米国家戦略からしても、これまでにも指摘したように「コントロール可能な米中冷戦(Controllable US CHINA Cold War)体制」のみが「世界を救う」唯一無二の選択なのだ。

そのためには、ドナルド・トランプ氏に自重してもらわなければならない。もしそれができれば、トランプ氏はまさに「世界の救世主」になれるのだが……。

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