「エルグランド“SUV”」!?

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「エルグランド“SUV”」が斬新すぎる!

 毎年1月に幕張メッセで開催される「東京オートサロン」は、世界最大級のカスタムカーイベントとして知られています。

 自動車メーカーやショップが新型車を披露する場であるとともに、全国の自動車専門学校の学生たちが、日頃の学習成果として製作したカスタムカーを発表する重要な機会にもなっています。

【画像】超カッコいい! これが斬新「エルグランド“SUV”」です!(28枚)

 2024年に開催された同イベントでは、日産京都自動車学校のブースに展示された「エルグランド グラシア(ELGRAND GLASSIER)」という車両が注目を集めました。このモデルは、学生たちが「自分たちの手で創り出す、未来の新型エルグランド」というコンセプトを掲げて開発したものです。

 ベース車両には、日産の高級ミニバンである現行の「エルグランド(E52型)」をチョイス。そこに、SUVの「エクストレイル(T33型/現行)」のフロントフェイスと、BEVの「アリア(マイナーチェンジ前のモデル)」のリアセクションを組み合わせるという、高度なカスタマイズが施されています。

 本来、これらの3車種はプラットフォームやボディ形状が全く異なるため、単純にパーツを交換するだけでは装着できません。学生たちは、ミニバン特有の厚みがある車体にエクストレイルの顔を適合させるため、グリルやバンパーを縦方向に延長する加工を行いました。

 板金技術を用いてラインを整えたことで、ボンネットからバンパーにかけて、メーカー純正車のような自然な仕上がりを実現しています。

 リアセクションについても、アリアの特徴的な一文字のテールランプやルーフスポイラーなどの純正パーツを移植しています。箱型のエルグランドにアリアの丸みを帯びたデザインを馴染ませるため、リアフェンダーやゲート周りの造形には細かな調整が繰り返されました。

 この車両の方向性は、高級ミニバンの枠を超え、昨今のトレンドである「SUVテイスト」を取り入れたクロスオーバースタイルです。「家族6人でアウトドアを楽しめる一台」を目指し、足回りは約40mmリフトアップされました。

 ホイールアーチにはオフロードタイヤを収め、悪路走破性を感じさせるタフな外観を構築しています。屋根には大型のルーフテントを設置し、ミニバンの積載性とキャンピングカーのような居住性を両立させた仕様となっています。

 ボディカラーにも独自の意図が込められています。ベースとなるグレーは、夜明け前の空をイメージして学生たちが調合したオリジナルカラーです。そこに、朝焼けの雲をモチーフにしたオレンジをフロントリップスポイラーや内装の各所に配し、全体をクールにまとめつつ、アクセントとして温かみを加えています。

 特筆すべきは、この車両が展示専用のショーカーではなく、実際に公道を走行することを前提に製作されている点です。日産京都自動車学校では、構造変更申請を行い、正規のナンバープレートを取得しています。

 フレームの加工や灯火類の法規対応など、車検の厳格な基準をクリアしていることは、学生たちが身につけた整備・板金技術の正確さと、法令順守の姿勢を裏付けるものといえます。

 既存の形にとらわれない発想を、実際の「走るクルマ」として完成させたこの一台は、技術者としての能力が形になった成果といえるでしょう。