《100体以上の高級ドールとハイター》父・田村修被告が明かした瑠奈被告の“優しさエピソード”【ススキノ事件公判】
2023年7月に札幌市の繁華街・ススキノのホテルで頭部のない男性の遺体が見つかり、親子3人が逮捕された事件。10月1日に札幌地裁で、死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われた母親の無職・田村浩子被告(61)の第4回公判が開かれた。
【写真】事件前に瑠奈被告が通った怪談バーの店内。リアルすぎる生首オブジェや血しぶきのような跡で覆われるトイレなど
娘の瑠奈被告は昨年7月1日深夜に、ススキノのホテルで男性を殺害して頭部を切断し、そして自宅に頭部を持ち帰りました。母親の浩子被告は、瑠奈被告が男性の頭部を自宅に隠すのを容認したこと(死体遺棄ほう助)と、瑠奈被告が頭部を損壊する際のビデオ撮影を求められ、夫の修被告に撮影を依頼するなどして手助けをした(死体損壊ほう助)ことが罪に問われている。
第4回公判では、7月の第2回公判に続き、浩子被告の夫である精神科医・田村修被告(60)の証人尋問も行われた。修被告は、手錠腰縄で証言台の前に伴われて着席。くすんだグリーンの長袖トップスに黒いズボン、白髪混じりの短髪にメガネという佇まいだ。修被告は8月下旬の第3回公判にも出廷する予定だったが、直前に新型コロナウイルスに感染して欠席。そのためか、この日は顔にはマスクをつけていた。
修被告が検索していた「ハイター」
娘の瑠奈被告(30)は、持ち帰った被害者の頭部を自宅の浴室で損壊し、その様子を修被告にハンディカメラで撮影させた。弁護人によると、修被告が所持していた端末には、「ワイドハイター 塩素系 浴室」など洗剤に関する言葉で検索した形跡があったという。
「娘からダメージの強いドールの皮脂汚れを消すのにハイターが使えるのかと聞かれました」(証人尋問での修被告の発言、以下同)
瑠奈被告は、安価なものでも5万円近い価格で、なかには10万円を超えるモデルもある“高級ドール”の愛好家だった。修被告によると、瑠奈被告は「3桁は」所持していたという。もちろん、それらの購入費用は修被告が負担している。
「中古の安いの含めていろいろありますが、娘が非常に気に入っている形態があり、『メイクして塗装して理想のドールを作りたい。作ることが生きがいで、作り終えるまで死ねない』と言ってたので、(娘に)生きていてほしいと(ドールを)与えてました。
とりわけ、ダメージの強い中古を買うとき、『ないがしろにされているドールを救ってあげたい、後で綺麗にしたい』と。本人の気持ちの安らぎというか、『救い出してあげたい』と言うので……。(ドールを)たくさん与えれば生きててくれるんじゃないかなと」
修被告の言葉からは、これまでの公判で明かされてきた瑠奈被告の猟奇的な犯行態様などからは想像がつかない、“優しさ”ともとれる一面が明かされた。ドールに関する作業のほかに、瑠奈被告が本来の用途でハイターを使用することもあったという。修被告は、「浩子が怪我をして、動きが不自由になったあたりで、浴室の清掃は娘がやってくれてました」と明かした。
娘の「生きがい」のため、生きていてほしい一心で、数多くのドールを買い与えていた修被告。事件発生の約1週間前、6月25日に購入した大きなスーツケースも“ドールのため”として娘にねだられたものだという。
「ケースに入ってないむきだしのドールをまとめて入れるのにスーツケースがいいんじゃないかと、買いたいと申し出がありました」
そして7月1日夜、瑠奈被告は、まさにこのスーツケースを持って被害男性に会いに行ったのだった──。